研究課題
葯のタペート細胞特異的オートファジー可視化系を確立し、タペート細胞のプログラム細胞死過程におけるオートファジー動態を解析した。脂質蛍光プロープを用いて、タペート細胞内の脂肪滴の動態を解析した。誘導ラマン散乱顕微鏡を用いて、タペート細胞内の脂肪滴等の構造を無染色でイメージングする手法を開発した。オートファジー欠損変異株と野生型株の葉の細胞内構造を透過電子顕微鏡で、また遺伝子発現や代謝産物を比較解析し、葉におけるオートファジー欠損の影響を解析した。研究の過程で、オートファジー欠損変異株が虫害に弱い可能性を着想した。いもち病菌等の病原体や害虫に対する抵抗性を比較解析し、実際に病害虫抵抗性が低下している可能性が示唆された。モデル植物シロイヌナズナのオートファジー欠損変異株では、植物ホルモンであるサリチル酸が過剰蓄積し、その効果により一部の病原体に対する抵抗性が高まることが報告されているが、イネではサリチル酸の蓄積量に明確な差は見られず、病虫害抵抗性におけるオートファジーの影響はシロイヌナズナとイネとで大きく異なることが明らかとなった。オートファジーを活性化させた植物体の作出を進めた。オートファジー欠損変異株は当初、完全不稔と考えていたが、花粉形成には遺伝的な影響と環境影響の双方が関わり、栽培条件によっては種子が稔実することを見出した。さまざまな栽培環境を比較し、オートファジー欠損変異株種子を採取することに成功した。オートファジー欠損変異株種子は、白濁しており、大きな社会問題となっている環境ストレスによる米の品質低下の表現型と類似していることを見出した。今後、オートファジー欠損変異株種子を大量に採取し、胚乳形成におけるオートファジーの役割を解析するための基盤を構築した。
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Journal of Plant Research
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