研究課題/領域番号 |
15K14692
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
小林 武志 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (60242327)
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研究分担者 |
二見 邦彦 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (00513459)
片桐 孝之 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (50361811)
寺原 猛 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (70547059)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 真珠 / 細菌 / アコヤガイ |
研究実績の概要 |
低品質な真珠の形成は、真珠層形成時の細菌による炎症反応が原因であるとする学説を微生物学の見地から深く検討した。その炎症の形跡は真珠核と真珠層の間に残されているとされるため、真珠層から抽出したDNAから細菌叢を解明すること、またアコヤガイ挿核手術時に細菌を植菌しその後作出された真珠の品質を評価することなどの研究により、真珠の品質と細菌の関係を整理し、優良真珠の養殖のための技術・学理に還元することを試みた。 前年度までの研究成果をもとに、本年度も実験を継続した。新たに入手した特に低品質なアコヤガイ真珠(クズ玉と呼ばれる)を破壊し、真珠層DNAを使用してクローンライブラリー法により細菌叢を検討した。また前年度までの試料で不明確なDNAシーケンスデータの再検討を行った。また培養実験として、各種の寒天培地を使用して破壊した真珠の真珠層から生菌の分離を継続して試みた。培養実験では、アコヤガイ真珠の他にクロチョウガイ真珠を使用して実験を行った。 さらに、前年度の手法に準じて新たなアコヤガイの外套膜から、寒天培地を使用して細菌を分離した。養殖現場において挿核手術の際に細菌をピース(移植用外套膜片)に植菌し、アコヤガイ生殖腺に核と共に挿入して貝の養殖を行った。また、比較の目的で、細菌接種(細菌区)、細菌未接種(対照区)のピース以外に抗生物質で処理を行ったピースも挿入した。これらのアコヤガイは養殖し、最終的に真珠を取り出して品質を鑑定した。 本実験全体において、養殖実験の細菌区ではアコヤガイが死亡したり、良質な真珠が得られにくい傾向となった。また培養実験ではごく一部のクロチョウガイから、嫌気性および好気性の芽胞形成菌が分離された。また良質真珠の真珠層DNAの細菌叢は真珠ごとにばらついていた。なお、得られた結果の一部を真珠養殖現場に還元する目的で市民真珠、海洋科学談話会(鳥羽市)にて講演を行った。
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