研究実績の概要 |
遺伝子水平移動は、細菌間でDNAを移動させる機構であり、有性生殖を持たない原核生物は、この機構を利用することによって遺伝子多様性を獲得してきたと考えられている。代表者は、Streptomyces nigrifacians由来自己伝達性プラスミドpSN22における接合伝達遺伝子の解析を勧めている。pSNの接合伝達には、4遺伝子座(traR, traA, traB, spdB)に依存しており、TraBタンパク質が接合伝達の中心であるDNA輸送チャネルであることが明らかになっている。さらに、traBの下流に位置するシス因子cis-acting locus of transfer (clt)が高効率な接合伝達に必須であることや、プラスミド伝達に伴った宿主染色体の可動化を確認してきた。我々はpSN22由来接合遺伝子であるtraR, traA, traBおよびcltをS.lividansの染色体内へ導入し、染色体移行の向上の可否を確認した。染色体への遺伝子導入には、acthinophage phiC31由来Integraseを用いた部位特異的組換えを利用した。染色体移行の評価は、移行後の受容菌染色体との組換え効率の定量化により行った。現在までに、pSN22由来のtra遺伝子群の導入により、先行研究よりもはるかに高い染色体移行効率を確認した。さらに、clt配列を欠損させることで染色体移行効率の大幅な欠損が見られ、必須領域であることを確認した。
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