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2016 年度 実績報告書

「ナノピペット」による蛍光標識したストレス顆粒の単離

研究課題

研究課題/領域番号 15K14707
研究機関筑波大学

研究代表者

金 俊達  筑波大学, 生命領域学際研究センター, 助教 (90570036)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードストレス顆粒 / ナノピペット
研究実績の概要

生体内の細胞は、環境変化を要因とするストレスの種類、持続時間や強弱に対して、細胞死を誘導するシグナル伝達機構や、生存のために損傷を修復するストレス適応機構のいずれかを選択し、生体の恒常性を維持している。近年、細胞のストレス適応機構の一つとして、ストレス顆粒の形成による翻訳制御が報告された。この顆粒は、ストレス刺激に応答して一過性に形成される細胞質内構造体であり、RNA結合タンパク質や mRNAを顆粒内に取り込んで翻訳を一時的に停止させ、mRNAの安定性や翻訳を調節している。しかし、顆粒の形成は可逆的であり、形質膜を持たないまま細胞質に存在するため、単離や精製による生化学的解析が極めて困難である。そのため、ストレス顆粒がどのように形成されるのか、また、構成因子はどのように選択されるのかといった高度な情報については未だ不明であった。ナノピペット技術は、細胞損傷を引き起こさず、単一細胞へ少量の溶液を正確に注入することができるため、細胞研究の有効なツールとして取り上げられている。本研究ではナノピペットを用いて、ストレス顆粒に局在する蛍光融合タンパク質をプローブとして生細胞からストレス顆粒の単離を試みた。まず、ヒト子宮頸癌由来細胞株HeLa細胞にマーカータンパク質を導入し、酸化ストレス刺激に応答するストレス顆粒の位置を特定した。その後、先端口径50 nmのガラスキャピラリーを装着したナノピペットを用いて、細胞内の蛍光を示す顆粒の単離を行った結果、ガラスキャピラリー内で蛍光シグナルが認められた。本研究の結果から、困難だった生細胞からストレス顆粒の単離方法としてナノピペット技術が有用である可能性が示唆された。今後、確立したナノピペットの実験系を用いることで、細胞内顆粒の単離だけでなく、構成物質の解明につながり、細胞内のmRNA品質管理機構に関する研究の飛躍的な発展が期待できる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Angiodysplasia in embryo lacking protein arginine methyltransferase 1 (PRMT1) in vascular endothelial cells2017

    • 著者名/発表者名
      Ishimaru T, Ishida J, Kim JD, Mizukami H, Hara K, Hashimoto M, Yagami KI, Sugiyama F, and Fukamizu A.
    • 雑誌名

      The Journal of Biochemistry

      巻: 161 ページ: 255-258

    • DOI

      10.1093/jb/mvw095

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] PRMT1 v2 ノックアウトマウス由来MEFを用いたスプライシングバリアントの細胞機能解析2016

    • 著者名/発表者名
      水上早瀬、石田純治、金 俊達、水野聖哉、杉山文博、深水昭吉
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県・横浜市)
    • 年月日
      2016-12-02
  • [学会発表] PRMT8 as a phospholipase is required for Purkinje cell dendritic arborization and motor coordination2016

    • 著者名/発表者名
      Jun-Dal Kim、Junji Ishida、 Akiyoshi Fukamizu
    • 学会等名
      International meeting of the federation of Korean microbiological societies
    • 発表場所
      KINTEX、 (Gyeonggi-do・Korea)
    • 年月日
      2016-11-03 – 2016-11-04
    • 国際学会
  • [学会発表] 生体内におけるPRMT1スプライシングバリアントの機能2016

    • 著者名/発表者名
      水上早瀬、石田純治、金 俊達、水野聖哉、杉山文博、深水昭吉
    • 学会等名
      第89回日本生化学会大会
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県・仙台市)
    • 年月日
      2016-09-27
  • [学会発表] ナノピペットを用いた単一細胞内の下流の単離2016

    • 著者名/発表者名
      金 俊達、深水昭吉、ジンウイクン、トートエステル
    • 学会等名
      第89回日本生化学会大会
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県・仙台市)
    • 年月日
      2016-09-26

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公開日: 2018-01-16  

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