• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

次世代分化制御薬の開発を目指した転写因子複合体の構造機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K14708
研究機関東京大学

研究代表者

宮園 健一  東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (90554486)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード転写因子 / X線結晶構造解析 / 細胞分化
研究実績の概要

本研究では、ES細胞やiPS細胞といった多能性幹細胞の分化制御を直接担う転写因子複合体Smad3-FoxH1に焦点を当て、1.細胞分化を引き起こす転写調節が、どのような分子間相互作用を通じて引き起こされているのか、2.そのような分子間相互作用を阻害する化合物を開発することにより、細胞の分化を人為的に制御できないか、という点を明らかにすることを目標としている。本年度は、Smad3-FoxH1複合体の構造情報を得るために、Smad-FoxH1複合体のX線結晶構造解析実験を行った。大腸菌の異種発現系を利用して、ヒト由来Smad3及びFoxH1を大量発現し、in vitroで複合体の形成を行った後、精製及び結晶化実験を行ったところ、エチレンイミンポリマーを沈殿剤とする条件で、良質な結晶を得ることに成功した。得られた結晶を用い、大型放射光施設Photon FactoryのAR-NE3AビームラインにてX線回折実験を行ったところ、最高分解能が2.4ÅのX線回折データを取得することに成功した。得られたX線回折データと、既知のSmad3の立体構造を用いて、分子置換法による構造決定を行ったところ、Smad3-FoxH1複合体の立体構造を得ることに成功した。今回明らかとなったSmad3-FoxH1複合体構造では、これまでに予想されていたSmad3表面とは異なる部位にFoxH1が結合しており、FoxH1はSmad3と新規の様式で結合することが明らかになった。この結果は、Smad3が様々な因子と相互作用する際に、多種多様な分子表面を利用していることを示す重要なデータである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

研究申請時の計画では、平成27年度中に、安定なSmad3-FoxH1複合体を形成するSmad3およびFoxH1の発現コンストラクトを決定し、Smad3-FoxH1複合体結晶の作出と、X線回折データの取得を完了することとしている。平成27年度に行った研究では、Smad3のC末端側領域(219残基~416残基)とFoxH1のSmad3結合領域(322残基-345残基)を大腸菌の異種発現系を利用して大量調製することにより、安定なSmad3-FoxH1複合体の形成と、結晶化に成功した。また、得られた結晶を用いて、大型放射光施設Photon Factoryのタンパク質結晶構造解析用ビームラインAR-NE3AにてX線回折実験を行ったところ、構造解析に適した品質のX線回折データを取得することに成功している。以上の成果により、当初予定していた研究計画は十分に達成できている。また、平成27年度の研究では、既知のSmad3単独構造を基にした分子置換法により、Smad3-FoxH1の構造決定に成功しており、当初の計画以上に研究は進捗している。以上の理由から、本研究の達成度を「当初の計画以上に進展している」とした。

今後の研究の推進方策

平成27年度の研究では、細胞分化の制御を行う主要な転写因子複合体Smad3-FoxH1のX線結晶構造解析に成功したため、平成28年度は、その複合体の生化学的な解析と、Smad3とFoxH1の複合体形成を阻害するような化合物のスクリーニング研究を行う。具体的には、Smad3-FoxH1複合体の構造決定により、分子間相互作用にかかわる残基を特定できたため、Smad3及びFoxH1それぞれに対し点変異体を作製し、その重要性を定量的に解析する。また、in silicoスクリーニングにより、Smad3-FoxH1の相互作用を阻害するような化合物を選別し、実際に阻害剤としての機能があるか否かを、プルダウンアッセイ等のin vitro解析によって確認する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 幹細胞分化の制御を担う転写因子複合体の構造機能解析2015

    • 著者名/発表者名
      宮園健一,栗崎晃,浅島誠,田之倉優
    • 学会等名
      平成27年度日本結晶学会年会
    • 発表場所
      大阪府立大学
    • 年月日
      2015-10-17 – 2015-10-18

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi