研究課題/領域番号 |
15K14713
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研究機関 | 長岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
赤澤 真一 長岡工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (60379550)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ミミズ / 形質転換法 / モデル生物 / バイオ医薬品 / 物質生産 |
研究実績の概要 |
バイオ医薬品とはヒト疾患の治療を目的として遺伝子組換えにより開発されたインスリン等の治療薬を指す.インスリンは大腸菌で生産可能だが,エリスロポエチン(貧血治療薬)等の糖タンパク質は,大腸菌では生産出来ず,糖鎖修飾が可能である動物細胞を利用する.しかしながら操作が複雑となり高コストになるという問題点があった.そこで,これらを解決しうる新規宿主としてミミズに着目し,ミミズを活用したバイオ医薬品生産工場の開発を目指した.しかしながらミミズの遺伝子工学技術は未開発であった事から,本研究では2年間で以下の項目を達成する事を目標とした.平成27年度:1.形質転換体取得率の向上((1)個体生存率,(2)形質転換効率の向上,(3)全く新しい手法による形質転換法の開発.平成28年度:雑菌数を低減させる飼育培地の開発,),2.完全体組換えミミズの創生,3.形質の子孫への伝搬の確認. 平成27年度は1について実施した.一連の形質転換系に用いるミミズの飼育培地から検討し,最適な培地を決定すると共に,飼育時における雑菌数の低減にも成功した.さらに遺伝子導入時の各種条件の最適化を一部達成した事により,個体生存率は当初の約4.5倍にまで飛躍的に向上し,形質転換効率も約2倍に向上した.また,導入した遺伝子もPCRで検出し,組込まれている事を確認した.成果発表として学会発表を海外1件,国内2件,国内シンポジウムでの発表を1件実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度計画では,上述の1(3)全く新しい手法による形質転換法の開発,を実施する予定であったが,ミミズの飼育条件及び遺伝子導入時の各種パラメーターの最適化に時間を要したため,計画を一部変更し,現在開発した手法をさらに最適化していくことを優先させた.結果として1(3)は実施できなかったが,現行手法の改善により,生存率が当初の約4.5倍と飛躍的に向上し,形質転換効率も約2倍に向上させたことは大きな成果であり,基本的には順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今年度はかなりチャレンジングな内容となっており,特に子孫への伝搬の有無に関しては生殖細胞や卵等へ積極的に導入を試みる.そのためにも形質転換効率の向上は必須であり,前年度実施出来なかった新規手法開発を実施すると共に,さらなる現行法の最適化に取り組む.
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