研究実績の概要 |
平成27年度においては、ショウジョウバエ、ハマダラカ、そしてコナガにコードされたNoppera-boの酵素活性を阻害する薬剤を、大規模スクリーニングによって探索した。東京大学創薬機構から提供されたコア化合物ライブラリーに含まれる約 9,600 化合物のそれぞれと、大腸菌から調製したNoppera-bo組換えタンパク質および酵素活性検出用プローブ(3,4-DNADCF)を混和し、蛍光強度を測定した。第1次スクリーニングにおいては、化合物濃度 20 microM における酵素活性阻害率75%を目安として候補化合物の同定を目指した。その結果、ショウジョウバエ、ハマダラカ、そしてコナガの Noppera-boを阻害する候補化合物をそれぞれ 80種、16種、そして49種得ることに成功した。 ついで、第1次スクリーニングによって得られたこれらの化合物の効果を再検証するために、第2次スクリーニングを実施した。これにより、50%阻害濃度(Inhibitory Concentratin 50; IC50)が 5 microM 以下の阻害活性の強い化合物を絞り込んだ。この結果、ショウジョウバエ、ハマダラカ、およびコナガのいずれのNoppera-boに対しても 5microM 以下の IC50 を示す化合物を15種類同定することに成功した。この15種類の化合物のうち、グルタチオンS-転移酵素一般ではなく Noppera-bo に特異的に作用する阻害剤を絞り込む目的で、昆虫ステロイドホルモン生合成とは関連性のないヒト GST に対する阻害率も検討した。その結果、3種類の化合物が Noppera-boを阻害するがヒトGSTを阻害しない有力候補として絞り込まれた。
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