研究課題
研究代表者らは、細胞膜シグナル制御物質の探索過程において、Streptomyces nigrescens HEK616とTsukamurella pulmonisis TP-B0596の2種類の異なる微生物の複合培養(combined-culture)によって生産されるテトラヒドロキノリン骨格を有する新規アルカロイド群5-alkyl-1,2,3-4-tetrahydroquinolines (5aTHQsと命名)を見出している。そこで、本研究課題では、5aTHQs類の関連代謝物の化学的解析、ならびに5aTHQs類および関連代謝物の化学的解析および生合成遺伝子クラスターの同定・機能解析と分子レベルでの活性化機構解明等を目指した。平成28年度は、上記複合培養における5aTHQs類の包括的探索・単離精製・構造解析を行った結果、液々分配で得られた90%メタノール層から3種の新規化合物ストレプトアミナール類(streptoaminals)を見出し、各種スペクトル解析および全合成の結果、絶対立体化学を決定した。さらに、ストレプトアミナール類の生物活性を検討した結果、ストレプトアミナール類は5aTHQs類とは異なる抗菌活性を示すことを明らかにした。また、5aTHQs類の構造活性相関研究の知見をもとにして、5aTHQs類の蛍光プローブの開発に成功し細胞内外での5aTHQs類の挙動の解析が可能になった。一方、本複合培養による5aTHQs類とストレプトアミナールの産生には、Streptomyces nigrescens HEK616内の共通の遺伝子クラスターが必要であることも明らかになっており(尾仲宏康先生(東大)との共同研究)、基本骨格の多様性およびアルキル側鎖の多様性に関して興味深い知見が得られた。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件) 備考 (1件)
「くすりをつくる研究者の仕事―薬のタネ探しから私たちに届くまで」
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