現代社会において、咀嚼の回数が大きく減少し、咀嚼の低下が健康状態を悪化させることが経験的に知られている。しかし、動物実験モデルが存在しないため、体の中で何が起きているかなど分子生物学的研究は全くされていない。私たちは、ラットにヒトの仮歯用の樹脂により前歯を固める方法により咀嚼抑制動物モデルを初めて開発した。本研究では、咀嚼における歯、筋肉の機械的運動だけでなく、成長因子を含有する唾液に注目して、咀嚼の栄養学的意義を明らかにする。咀嚼によって制御される肝臓・消化管の細胞増殖能や脂質代謝の悪化を遺伝子レベルで解析して、本咀嚼抑制動物モデルを確立する。
|