研究課題/領域番号 |
15K14733
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藍原 祥子 神戸大学, 農学研究科, 助教 (30620877)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 味覚 / 栄養 |
研究実績の概要 |
生物は食餌により栄養源を獲得しているが、栄養飢餓状態に陥った際には身体の組織を分解し再利用する。このオートファジーと呼ばれる作用は、マウスにおいては生体内のアミノ酸量に依存することが解明されつつあるが、詳細は未だ不明である。マウスは糖質と脂質を主な栄養源とするのに対し、魚類はタンパク質と脂質を主な栄養源とする生物であることから、アミノ酸の摂取とオートファジーの関係が直接的であることが期待される。本研究ではメダカ(oryzias latipes)を用い、食餌由来アミノ酸によるオートファジー活性の変化を検出することを試みた。 前年度の成果で、摂食状態の異なるメダカを用いた肝臓でのLC3抗体陽性細胞の割合に差が見られた。また栄養状態を変化させるために異なるアミノ酸を配合した餌を用いて比較をすると、アミノ酸の種類による差異は見いだせなかった。
メダカの味覚系には、脊椎動物で共通する味覚受容体が存在し、アミノ酸を好む、または苦味物質を忌避するという判断に用いていることが分かっている。この味覚受容体を発現する細胞にカルシウムインジゲーターを導入し、応答の強度を評価することで、より強く反応する食品因子を見出すことを計画した。この実験系のために蛍光顕微鏡のシステムをイメージング用に改変し、まずは培養細胞での評価を試みた。その結果、刺激溶液を還流しながらカルシウム応答を評価する系を構築するに至った。今後はメダカの稚魚を用いた実験系を構築し、前述の目的を達成することを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
オートファジー活性を評価するにあたり、マウスLC3に対する抗体を用いて実験を行ったところ、抗体のロットの変更によって染色での評価がなされなくなり、オートファジー活性を評価するのが困難になった。代替の方法を検討するも、十分なものが見つけられず、オートファジー活性評価は中断せざるを得なくなった。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子改変メダカを用いた味物質の探索の系については、複数のカルシウムインジゲーターやあるいはATPセンサーを試みて、より感度のよい系を確立する。 その系を用いて、メダカの味蕾で強く応答する食品因子を探索し、食品成分に対する味応答と栄養学的な指標の相関を明らかにする。
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