生物は食餌により栄養源を獲得しているが、栄養飢餓状態に陥った際には身体の組織を分解し再利用する。このオートファジーと呼ばれる作用は、脊椎動物においても生体内のアミノ酸量に依存することが解明されつつあるが、詳細は未だ不明である。魚類はタンパク質と脂質を主な栄養源とする生物であることから、生体にアミノ酸の収支と、オートファジーの関係が観測できることが期待される。本研究ではメダカ(oryzias latipes)を用い、食餌由来アミノ酸によるオートファジー活性の変化を検出することを試みた。 前年度までの結果、摂食状態の異なるメダカを用いた肝臓でのLC3抗体陽性細胞の割合に差が見られた。また栄養状態を変化させるために異なるアミノ酸を配合した餌を用いて比較をすると、アミノ酸の種類による差異は見いだせなかった。 栄養飢餓状態において栄養素を摂取しようとする行動に焦点をあて、メダカの摂食行動を、味覚系の変化で評価することを試みた。メダカの味覚系には、脊椎動物で共通する味覚受容体が存在し、アミノ酸を好む、または苦味物質を忌避するという判断に用いていることが分かっている。この味覚受容体を発現する細胞にカルシウムインジゲーターを導入し、応答の強度を評価することで、より強く反応する食品因子を見出すことを計画した。
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