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2017 年度 実施状況報告書

緑色を呈する天然型色素の生産技術開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K14738
研究機関石川県立大学

研究代表者

小西 康子  石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (80129238)

研究分担者 小椋 賢治  石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (50270682)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード酵素反応 / 呈色反応 / ペプチド / アミノ酸 / 中間体構造
研究実績の概要

我々は、チロシン残基を含むペプチドとアミノ酸の混合液にチロシナーゼを反応させて得た赤色反応液を凍結保存すると、黄、緑、青など様々な呈色反応が起こることを見出した。本研究では凍結下で進行するこの呈色反応の機構を明らかにし、新しい天然系色素の生産技術開発をめざす。天然色素としては種類が少ない青色に着目し、昨年度までに青色呈色物質の共通基本構造を明らかにした。本年度は、反応中間体の検出と構造解析を行い、反応メカニズムを提唱する。
チロシナーゼはナメコ子実体から精製し、基質ペプチドはAc-YVG(N-Acethyl-Tyr-Val- Gly)、アミノ酸にはLeuを用いた。反応液を0~5 %のグリセリン存在下で凍結したところ、呈色反応速度はグリセリン濃度が高くなるにつれて遅くなった。グリセリン濃度4 %の反応液を経時的に解凍して吸収スペクトルを測定したところ、500 nm付近の吸収が低下し、新たに600 nm付近の吸収が増加した。HPLC分析では凍結日数が長くなるに従い保持時間9 min付近の470 nm吸収ピークが小さくなり、50 min付近の600 nm吸収ピークが大きくなった。これらの結果から、500 nm付近に吸収帯をもつ反応中間体の存在が強く示唆された。LC/MS、LC-MS/MSによる解析を行った結果、反応中間体はキノン化したAc-YVGにアミノ基が結合した構造をもつことが分かった。
すなわち本呈色反応において、最初はチロシナーゼによりTyr残基が酸化されo-キノンが生成する。これに、Leuのアミノ基の求核攻撃がおこり中間体が生成する。凍結下ではo-キノンや中間体が安定化し、これらとさらにLeu分子が反応することで複素環が形成され、青色呈色物質が生成するというメカニズムが考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Tyr残基を含むペプチドとアミノ酸から、チロシナーゼ反応を用いて種々の色素が生成するメカニズムを明らかにして、新たな緑色色素の生産技術を開発することを目的として研究を開始したが、本反応で観察された緑色は、黄色と青色の混合物であることが明らかになった。黄色の天然系色素の種類は多いが、青色ではその種類が数少ないことから、本研究では青色呈色反応にターゲットを絞ることにした。現在までに、青色呈色物質や反応中間体の構造を明らかにし、反応メカニズムを提唱するまでに至っている。

今後の研究の推進方策

凍結により進行する本呈色反応の反応では、結合するアミノ酸の数(1~3分子)によって3種類の青色呈色物質が生成することが分かっている。また、赤色蛍光性を示す色素と示さない色素があることも明らかになっている。これらについても今回提示したメカニズムで説明可能であることを確認し、学会発表および論文作成を行う。

次年度使用額が生じた理由

呈色物質生成の反応メカニズムを明らかにする目的で、反応中間体の分離と構造解析を目的に実験を行った。種々の条件検討の結果、2018年2月上旬に反応中間体を分離し構造を明らかにすることができた。この分子を含む反応メカニズムを提唱することで、凍結で進行するという本反応の特徴を説明でき、さらに新規の色素開発が可能である。本成果を学会発表および論文投稿するために補助事業期間の延長した。
。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] チロシナーゼ反応を用いて調製した青色呈色物質の生成メカニズム2018

    • 著者名/発表者名
      小西康子、水谷萌花、道畠俊英、笹木哲也
    • 学会等名
      第65回日本食品科学工学会
  • [学会発表] チロシナーゼ反応を用いてペプチドとアミノ酸から調製した青色色素2017

    • 著者名/発表者名
      小西康子、久米つばさ、南保隼也、堺裕介、室瑞希、堺澤静、大田睦月、小原涼太、野田文雄、道畠俊英、笹木哲也
    • 学会等名
      第64回日本食品科学工学会

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公開日: 2018-12-17  

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