研究実績の概要 |
本研究では、低炭水化物・高脂肪食(Ketogenic Diet)給餌マウスにおけるインスリン抵抗性や血糖値調節機構について基礎的な検討を行った。C57BL/6J雄性マウス4週齢を2週間予備飼育後、Control Diet, CD(リサーチダイエット社)群とKetogenic Diet, KD(リサーチダイエット社)群に分け、これらを自由に摂食させて16週間飼育した。実験開始1, 6, 12週目に経口糖負荷試験を行い、16週目には明期に6時間の絶食後、血漿グルコース濃度・インスリン濃度・脂質濃度・ケトン体濃度、肝臓および筋肉中グリコーゲン含量を測定した。また、肝臓の組織像、肝臓における糖新生関連因子PEPCK, G6paseのタンパク質発現、グリコーゲン合成酵素GSK3βリン酸化レベルをwestern blottingにより測定した。さらに、肝臓における解糖系酵素ヘキソキナーゼ、グルコキナーゼの活性を測定した。体重はCD群と比較してKD群で有意に増加したが摂取カロリーに差はなかった。明期6時間の絶食後では、血漿グルコース濃度はCD群、KD群で差はなかった。血漿インスリン、ケトン体、TG濃度はCD群と比較してKD群で有意に増加した。また、血漿NEFA, TC濃度、肝臓および筋肉のグリコーゲン含有量に差はなかった。経口糖負荷試験では1, 6, 12週目いずれもCD群と比較してKD群で耐糖能異常が認められた。肝臓の組織学的解析では、CD群と比較してKD群で顕著な脂肪滴蓄積が観察された。肝臓におけるPEPCK, G6pase,リン酸化GSK3βタンパク質発現はCD群と比較してKD群で有意に減少した。肝臓ヘキソキナーゼ、グルコキナーゼ活性に差はなかった。低炭水化物・高脂肪食はインスリン抵抗性を惹起すること、糖新生を介さずに血糖値を調節していることが明らかとなった。
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