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2016 年度 実施状況報告書

精神的ストレスによる腸内細菌叢の変動はうつ様症状の原因となるか?

研究課題

研究課題/領域番号 15K14742
研究機関東京大学

研究代表者

青木 綾子  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (60610368)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード胆汁酸 / BDNF / 社会性行動
研究実績の概要

脳と腸は神経系や液性因子を介して機能的に相互に影響を及ぼすことが知られている。これまでに社会性の低下を示す社会的敗北ストレスモデルマウスにおいて、盲腸内の胆汁酸濃度が上昇することを報告している。昨年度、胆汁酸吸着レジンであるコレスチラミンの投与により社会性行動が影響を受ける傾向を示すことを報告した。本年度は、胆汁酸の経口投与および腹腔投与が、記憶と情動に関係する海馬や自律神経機能を調節している視床下部における遺伝子発現に与える影響を解析した。
C57BL/6Jマウス(雄8週齢)に0.1%のコール酸を含むAIN93G飼料を10日間自由摂取させた。マウスの脳から海馬および視床下部を摘出し、セロトニン受容体、神経栄養因子(BDNF、GDNF、FGF2、NGF)、消化管ホルモン(CCK)、胆汁酸受容体(TGR5、FXR、VDR)のmRNA発現量をリアルタイムRT-PCRで解析した。 その結果、視床下部において2回の試験でそれぞれBDNFもしくはGDNFの発現量の増加が観察されたが、海馬においては有意な差は認められなかった。次に胆汁酸の腹腔投与効果を検討した。C57BL/6Jマウス(雄8週齢)にケノデオキシコール酸(CDCA)溶液とリトコール酸(LCA)溶液をそれぞれ100マイクロリットルずつ腹腔投与し、マウスの脳から海馬および視床下部を摘出し神経栄養因子のmRNA発現をリアルタイムPCRにより解析した。その結果、LCAの投与は視床下部のBDNFの発現量を有意に増加させ、CDCAの投与も、視床下部におけるBDNFおよびGDNFを有意に増加させた。一方で、これらの投与は海馬の遺伝子発現においては有意な影響を与えなかった。これらの結果から、胆汁酸は生体内への直接の投与により、視床下部のBDNFを上昇させることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

出産に伴う病気休暇、産後休暇、育児休業取得のため、研究の進行に若干遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

アイソレーターを用いない腸内細菌の移植実験を検討する。

次年度使用額が生じた理由

出産に伴う、病気休暇、産後休暇、育児休業の取得に伴い、研究推進に遅延が生じたため。

次年度使用額の使用計画

腸内細菌叢の移植実験に使用する。

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公開日: 2018-01-16  

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