研究課題/領域番号 |
15K14744
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
比屋根 哲 岩手大学, 連合農学研究科, 教授 (90218743)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自然観 / 東日本大震災 / 子ども / 意識 / アンケート調査 / ヒアリング調査 / テキスト分析 |
研究実績の概要 |
研究2年目の平成28年度は、前年度の岩手県内での調査(児童・生徒へのアンケート調査等)の実施を踏まえて、1)宮城県内の調査地の全体概況調査、2)岩手県内の児童・生徒へのヒアリング調査、3)収集資料のテキスト分析、4)調査結果の総括および調査法の再検討、4)学会等での発表内容のとりまとめ、を課題とした。 課題1については、前年度に教師への調査と資料調査もほぼ実施を終えたことから、岩手県内でのヒアリング調査(宮古市、山田町、田野畑村の被災地関連の自治会長等を通して、震災前の自治会活動、コミュニティーの現状、子どもたちの自然とのふれあい状況等の把握)を優先的に実施し、宮城県の全体調査は次年度に持ち越すこととした。 課題2については、宮古市および田野畑村において、海岸沿いを訪れた高校生や中学生を対象に計10名程度、調査を実施した。その結果、子どもたちの中では、震災で体験した恐ろしい自然と、遊び場や癒しを提供してくれる自然とは明確に区別され、全体として自然保護教育や環境教育の推進上、震災の体験は大きな障害にはなっていないことがわかった。この点は、児童・生徒を対象としたアンケート調査結果とも合致した。 課題3については、本格的なテキスト分析は未着手で次年度に持ち越したが、一部について検討した結果、子どもたちは震災後の「開発」の様子を自然破壊として捉えている面が確認された。 課題4については、これまでの研究成果をもとに、平成29年3月、鹿児島大学で開催された日本森林学会大会で口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は、8月まで岩手県内の沿岸部を中心に、被災地関連の自治会長ほかへのヒアリング調査と現地における中高生へのヒアリング調査が一部実施できたが、9月の台風による未曽有の災害のため、岩手県沿岸部へのアクセスが困難となり、また新たな被害を受けた地域については継続調査を断念せざるを得なくなった。また、この台風被害の影響もあり、宮城県内での調査も次年度への持ち越しを余儀なくされた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、東松島市の宮野森小学校をはじめ、宮城県内での新たな調査地の目処がついたことから、28年度に実施できなかった宮城県内の全体調査は行わなくても支障がないと判断した。 全体として平成29年度は、ほぼ当初計画通り、1)宮城県内での児童を対象とした新たな調査(アンケート調査、授業実践資料調査等)の実施、2)アンケート調査データのより詳しい解析、3)岩手県内の調査結果とあわせて研究全体の総括、4)学会誌への投稿を含め研究成果のとりまとめを、順次進行させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は8月まで順調に調査を実施していたが、9月に東北地方に上陸した台風による甚大な被害のため、調査地である三陸沿岸部へのアクセスが困難になったこと、また新たに被災した地域への継続調査が研究倫理面の理由から困難になったことにより、旅費やデータ収集のための謝金等の支出が大幅に減少したため。
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次年度使用額の使用計画 |
宮城県東松島市内の小中学校のアンケート調査や三陸沿岸部で野外教育を実践している団体、個人に対するヒアリング調査等の実施にかかる旅費および謝金等に支出する計画である。
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