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2017 年度 実績報告書

「根系ギャップ」に着目した永久凍土域亜寒帯針葉樹林における個体間競争過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K14752
研究機関信州大学

研究代表者

城田 徹央  信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (10374711)

研究分担者 安江 恒  信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (00324236)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード個体間競争 / 根系 / クロトウヒ
研究実績の概要

本研究は,アラスカ内陸部に成立するクロトウヒ個体群を対象に,根系の相互干渉の有無を明らかにすることで,地下部への物質分配の重要性を検証するものである。この林分では林冠の閉鎖が20%程度と小さく,地上部の個体間競争は緩やかである。地下部での競争状態を明らかにするため,6m四方のプロットを576個の25cmグリッドに分割し,各グリッドにおける根長分布を個体ごとに計測した。
地上部との比較を行うと,地上部の占有面積が20%程度であったのに対して,地下部の占有は98%とほぼ全域を占めていた。このことから,地下部の個体間競争は,地上部からは予測ができないほどシビアであるといえる。
得られたデータを複数の視点から解析することで,地下部の競争状態を評価した。まず,個々の個体の根系の分布が対称であれば,個体間の競合状態は弱いとされる。ここでは非対称な分布示したことから何らかの競合が生じていることが示唆された。次に,根系分布が個体間でオーバーラップしていれば,個体間の競合状態は弱いとされる。ここでは比較的多くの領域がオーバーラップしており,必ずしも排他的ではないことが示された。最後に,個体のサイズ,根元からの距離,有機物層の厚み,地形の凹凸,他個体の根長を説明変数にした一般化線形モデルをあてはめた。このモデルでは他個体の根長が負に影響していた。すなわち,根域同士のオーバーラップはあるものの,他個体が占有するグリッドでは,根長を増大させることはできない。このように,クロトウヒ地下部の個体間競争は全体としては緩やかだが,局所的には排他的な傾向を持つ。1個体が広く根系の領域を広げることがあっても,その領域を全て埋め尽くすわけではない。
以上からクロトウヒ個体群の地下部における競争は熾烈であり,同個体群における地下部への同化物分配は量的にも質的にも極めて重要であると結論された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] The annual change of defoliation intensity by Lymantria disper and its size dependency of Larix sibirica in Mongolia2018

    • 著者名/発表者名
      S.Okaniwa, T.Shirota, K.Inoue, Y.Fujioka, T.Tanabe, K.Yasue, T.Okano, N. Baatarbileg, B. Oyunsanaa
    • 学会等名
      ISAR-5 / Fifth International Symposium on Arctic Research
    • 国際学会
  • [学会発表] Underground competition may be occurred among Picea mariana trees in central Alaska2018

    • 著者名/発表者名
      T.Shirota, K.Yasue, S.Otake, T.Saito, T.Tanabe, M.Dannnoura, Y.Matsuura, K.Noguchi, T.Morishita, R.Ruess, J.Hollingsworth
    • 学会等名
      ISAR-5 / Fifth International Symposium on Arctic Research
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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