研究実績の概要 |
ポットに植栽されたヒノキ苗木を用いて、風および乾燥ストレスに対する生理応答について測定を行うと同時に環境ストレスに対する遺伝子発現解析を行ったほか、苗木の成長調査を継続して実施した。また、成木を対象に、樹液流速度とキャビテーション発生、環境要因の測定を行い、樹体振動による通水機能への影響について検討した。 苗木成長試験では、灌水間隔が長い乾燥区では成長が抑制される傾向にあり、強風区では上方への成長よりも側方への成長が優勢となる傾向が見られた。苗木・成木ともに、風および樹体振動によりキャビテーションの発生が増加した。一方で、樹液流への影響は苗木と成木で異なり、苗木では樹液流への影響は確認されなかったが、成木では樹液流が促進される結果も見られた。 各ストレス処理区より採取した針葉よりtotal RNAを抽出し、RNA-seqによる網羅的な発現遺伝子の収集を行った結果、全ての処理区を合わせて約75,000の転写産物を得ることができた。また、これらの転写産物の発現解析をおこない、無処理区に対し発現量が2倍増加した転写産物は、風・乾燥処理区で2572個、無風・乾燥処理区で885個、風・湿潤処理区で1185個であった(処理区間の重複は除く)。
|