本研究では、カルビンサイクルの鍵酵素であるRubiscoに対する分光反射指数を開発することを目的とし、Rubiscoの量と活性に関連する波長域を特定し、植物の光合成機能を考慮した新たな「機能性分光反射―光合成モデル」を構築すること目指している。 本年度は、シロイヌナズナの野生型およびRubisco欠損体を用いることによって,Rubisco量が1.3から5.2g/m2のサンプルを作り出すことができた。これらのサンプルのRubisco量と分光反射計測結果を比較すると,分光反射率を組み合わせることによって,Rubisco量を再現することができた。 また,Rubisco量と強い関連性を有している最大カルボキシレーション速度(Vcmax)を評価する上で有効な分光反射指数の開発を試みると,Rubisco量の場合と近い波長域における反射率を組み合わせた指標が有効であることを確認することができた。 最後に,ブナをはじめ落葉広葉樹を対象にRubisco量及びVcmaxの計測を実施した。オリジナルの反射率を用いて評価を試みると,シロイヌナズナ同様に短波赤外域における反射率を用いた指標が最もフィティングが良かったものの,微分値を活用したほうが,精度が高くなった。
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