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2015 年度 実施状況報告書

カシノナガキクイムシの飛翔行動と寄主への反応

研究課題

研究課題/領域番号 15K14755
研究機関京都大学

研究代表者

山崎 理正  京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (80263135)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードカシノナガキクイムシ / 飛翔行動 / フライトミル / 走光性
研究実績の概要

カシノナガキクイムシの飛翔行動と寄主への反応について、以下の3点を明らかにする目的で研究を行った。
【1】羽化脱出後の飛翔方向と光環境との関係
【2】飛翔行動にみられる性差と個体差
【3】飛翔前後での光と寄主木に対する反応の変化
【1】については野外で粘着トラップを前年度枯死木の周辺に立体的に配置し、羽化脱出個体の捕獲を試みた。2015年7月から9月にかけて、3本の前年枯死木の穿入孔に767個の蛍光付着管を設置し、前年枯死木と周辺木を幹の上部でワイヤーで繋いで、そこから垂らしたロープに96個の粘着トラップを設置した。その結果、相対照度が高い方向で羽化脱出個体が捕獲できたものの、その総数はわずか2頭で、飛翔方向と光環境との関係を考察するまでには至らなかった。【2】についてはフライトミルを利用して室内実験を行い、カシノナガキクイムシの飛翔速度と飛翔時間には体長や性別による差がみられないことが明らかとなった。飛翔距離には個体によって大きなばらつきが認められ、最大値は27.3kmだった。【3】についても60頭のカシノナガキクイムシを用いて室内実験を行い、フライトミルに取り付けて飛翔させる前と後で光に対する反応を比較した。その結果、飛翔前と比べて飛翔後にはカシノナガキクイムシの正の走光性が低下することが明らかとなった。【2】と【3】の結果については、2016年3月の学会で発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画時に設定していた3つの目的のうち、【2】については室内実験によって検証を終え、【3】のうち光に対する反応の変化についても検証を終えた。【1】については検証するのに充分なデータを取得できなかったものの、当初の仮説を支持するような結果が得られている。

今後の研究の推進方策

【1】について、ワイヤーを利用した方法では粘着トラップの設置場所が限定されてしまい、羽化脱出木の直近への設置が難しいという問題があった。これを改善するため、羽化脱出木に直接取り付けるようなトラップを検討する。【2】については当初の目的を発展させて、フェロモンの存在が飛翔行動に及ぼす影響についても調査する予定である。【3】については、飛翔前後で寄主木に対する反応が変化するかどうかを室内実験で検証する。

次年度使用額が生じた理由

【1】を明らかにするために当初はバルーンで粘着トラップを配置する計画だったが、林内での設置やヘリウムボンベの運搬が困難であることから、ワイヤーを利用した設置方法に変更した。その結果、当初の計画よりは資材費が低下した。

次年度使用額の使用計画

ワイヤーを利用した設置では粘着トラップの設置場所に制限があったので、これを改善するようなトラップの設置方法の開発とその資材に未使用予算を充てる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] カシノナガキクイムシの飛翔能力は何によって決まるのか2016

    • 著者名/発表者名
      深谷智史, 奥田直人, 岡田龍一, 伊東康人, 池野英利, 山崎理正
    • 学会等名
      第127回日本森林学会大会
    • 発表場所
      藤沢
    • 年月日
      2016-03-29
  • [学会発表] Phototaxis behavior of ambrosia beetle Platypus quercivorus before and after flight2016

    • 著者名/発表者名
      Pham Duy Long, Michimasa Yamasaki, Yasuto Ito, Ryuichi Okada, Hidetoshi Ikeno
    • 学会等名
      第63回日本生態学会大会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2016-03-22

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公開日: 2017-01-06  

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