本研究は、地上型レーザスキャナ等で取得された森林の3次元点群データの新たな解析手法の開発を目的とした。森林で取得した点群データを基に、個々の樹木をグラフ構造で記述した「樹木モデル」を生成し分析することで、点群の個体ごとへの分離と、幹・枝・葉への分割を、自動かつ高速で実現する手法の開発を目指した。解析対象として、比較的解析が容易と考えられる針葉樹(スギ、ヒノキ、アカマツ)の試験林データを活用し、点群処理手法の開発を行った。本研究で開発した手法の処理手順は次のとおりである:1) RANSAC法により地面成分を除去する、2) 点群データから反射強度に基づき葉成分を分離する、3) 距離画像を生成し、連結領域の算出を行い、ノイズを除去する、4) 領域分割した点群をメッシュモデルに変換し、一定の高さごとに切断し、切断線の集合を取得する、5) 切断線から幹成分を抽出する、6) 幹成分の除去により枝成分を抽出し、枝構造を検出する。開発した手法により構築した樹木モデルから推定した樹木サイズ等に関するパラメータと、試験林における実測値との比較・検証を行った結果、樹高や幹直径の推定精度が実用レベルとして十分高いことが示された。さらに、本研究で開発した手法のアプリケーション化を進めた。その結果、新規取得した森林の点群データに対する開発手法の適用を可能にした。本研究で開発した一連の手法は、これまで困難であった、森林の3次元点群データからの高精度・高速での自動樹木モデリングを可能にするものである。
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