研究実績の概要 |
平成27年度の計画には、既往文献を参考にしてセルロースの臭化リチウム(LiBr)水溶液への溶解性を確認しつつ、セルロースの加水分解によるグルコースの生成、グルコースからフルクトースへの異性化、フルクトースからの脱水反応などの各反応を促進させるため、酸・塩基などの触媒を様々に試す計画を記載している。 LiBr水溶液へのセルロース溶解については、可能な限り高濃度のセルロース溶液を扱うことができれば、効率的と考えられるが、今回の研究では6wt%まで溶解が可能であることが判明した。このセルロース濃度と60wt%の LiBr濃度を設定して、触媒や温度、時間等の条件を変えて更に反応を検討した。 固体酸に関しては、Amberlyst-15での加水分解反応において、加水分解が進まずに黒色沈殿が非常に多い結果となった。液体酸触媒には臭化水素酸(HBr)を取り上げ、その濃度が2wt%のとき、80℃で30分の熱処理でほぼ定量的にグルコースが得られることが判明した。このときのHMF収率は総じて極めて低い値を示した。 計画には明記しなかったが加水分解後の試料を中和したうえで、小林らが開発した、ZnCl2やZnCl2などのルイス酸とドデシル硫酸ナトリウムなど界面活性剤との組み合わせた触媒を(S. Kobayashi and K. Manabe, Acc. Chem. Res. 2002, 35, 209-217)、検討に加えたところ、Znを用いた触媒で変換率ca. 20%と比較的高い値を得た。 光触媒を助触媒として用いた、酸触媒による脱水反応の促進については、いくつかの条件で検討を行ったが、有意な効果が確認できていない。
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