研究課題/領域番号 |
15K14771
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
本田 与一 京都大学, 農学研究科, 教授 (70252517)
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研究分担者 |
中沢 威人 京都大学, 農学研究科, 助教 (80608141)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | きのこ / 組換え / タンパク質 / 糖鎖 |
研究実績の概要 |
前年度の成果に基づいて、担子菌の中で異種タンパク質を効率よく発現する為の組換え遺伝子発現カセットの構築を進めた。まずこれまでに開発してきた一過性の遺伝子発現系を用いて、プロモーター要因として担子菌内で高い発現を誘導するβチューブリンプロモーター内のコアプロモーター機能に必要な特異的配列の解析を行い、14bpからなる配列が必須の役割を持つことを明らかにした。この配列は、様々な担子菌類のβチューブリンプロモーターに共通して保存されており、TATAA配列に依存せず高い転写開始を促す機能を持つと推察された。一方、この配列の他には、下流の転写開始点付近のCT-rich配列が共通して観察され、欠失解析によってプロモーター機能に重要な役割を果たしていることも明らかにされた。そこで、CT-rich配列の上流に14bpの配列を複数持つ人工プロモーターを作成し転写機能を解析したが、期待されたような相加的な高発現は達成できなかった。 一方で、異種タンパク質発現が転写後のどの段階で滞留しているのかを明らかにする目的で、ヒラタケの多機能型ペルオキシダーゼのN-末と融合させたルシフェラーゼの発現を試み、菌体外へのルシフェラーゼ活性の発現を確認した。これらの成果により開発された遺伝子発現カセットおよびレポーターシステムを用いて、白色腐朽菌のタンパク分泌系を解析するための研究基盤が整うに至った。今後は、翻訳後の糖鎖修飾系の分析とヒト型糖鎖修飾酵素遺伝子の導入、異種タンパク質の高発現に必要となる分泌系ボトルネックの解消に向けて研究を続けていく予定である。
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備考 |
European Conference on Fungal Genetics 14(第14回欧州菌類遺伝学会議)における研究成果の発表について、ベストポスター賞を受賞した。
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