あらゆる分子サイズの基質を酸化可能な“全能性”をもつポプラのペルオキシダーゼCWPO-Cの機能解析を目的としている。前年度、CWPO-Cは主茎、側芽形成に関与することが示唆されており、より具体的な役割を明らかにするため、本年度はCWPO-Cの発現解析を中心に行い以下の結果を得た。 1. LMD法を用いたCWPO-Cの細胞レベルでの定量的発現解析…形成層、厚角組織、頂端分裂組織をそれぞれLMDで分離し、リアルタイムPCRによって定量した。その結果、CWPO-Cは頂端分裂組織において最も発現量が多く、頂芽の生長に関与することが示唆された。 2. 側芽発生誘導を行った際の発現解析…CWPO-Cプロモーター::GUSを導入した形質転換ポプラの茎頂を切断し、側芽誘導を行ったところ、側芽に強い発現が観察された。また、ポプラカルスを再分化処理し多芽体誘導を行ったところ、多芽体に強く発現した。この発現は生長とともに消失傾向を示したことから、芽への分化、または芽の初期生長に機能することが示唆された。 3.木部における発現解析…CWPO-Cはその反応特性からリグニン形成への寄与が示唆されていたため、リグニン蓄積部位における発現の観察を行った。その結果、繊維細胞における発現は認められなかったが、導管に発現が認められた。CWPO-Cは導管形成には関与する一方、繊維細胞の形成には寄与しない可能性が高い。 以上の研究成果はYoshikay et al. として論文にまとめているところである。
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