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2015 年度 実施状況報告書

海洋観測ブイを利用した新たな漁場情報および環境指標の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K14782
研究機関福井県立大学

研究代表者

兼田 淳史  福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (70304649)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード漁場環境 / 環境指標 / モニタリング
研究実績の概要

新たな漁場情報や環境指標について検討するため、若狭湾南部の定置網漁場近傍で係留系観測を実施した。ADCP(超音波ドップラー流向・流速計)を用いて流向・流速データを取得するとともに、小型メモリー式水温計を用いて海面下10mから海底までの多層の水温データを獲得した。また、海洋観測ブイを設置して海面下10mの流向・流速、水温、波高のデータを取得し、データはweb経由で速やかに公開する体制を構築した。
同時に、低次生態系の変化や測定項目と漁獲量の関連性を把握するためにデータ収集も行った。ADCPは流向・流速データを獲得する際に、水中の懸濁物量に応じて変化する反射強度を測定している。動物プランクトンなどの水中懸濁物量の指標として反射強度データを用いるとともに、水中懸濁物の内容を把握するためにネットを用いたプランクトン調査を実施した。魚の情報は福井県水産試験場が公開している資料・データや定置網業者から入手した。
定置網が操業する初夏から晩秋までに係留観測を実施し、予定していた全てのデータを取得することができた。観測を終えた秋以降はデータセットとプログラムの作成を行い、各項目の季節変化および短期間の時間スケールの変動特性を明らかにした。水中懸濁物量の変化を示唆するADCPの反射強度の解析では、反射強度データが明瞭な季節変化を示すことやプランクトンの日周鉛直移動を示唆する短周期変動を見いだせること等を明らかにした。新たに明らかにした知見は、日本海洋学会で発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

定置網漁業者と協力して当初の計画通りに現地観測を構築し、漁場環境の時間変化を把握するための体制を確立できた。
5-6月頃のアジ、ブリなどの漁獲時期、8月頃を中心とする「夏枯れ」と呼ばれる漁獲量低下時期、そして夏枯れ後に再び漁獲が回復する時期のデータ分析と比較解析を開始した。漁獲量の変化と水温変化の関連性が深いことは既に知られているが、水中懸濁物量の変化を示唆するADCPの反射強度も明瞭な季節変化を見せたことから、相互の関連性やその有効利用の可能性などに着目して分析を進めている。
定置網漁場の環境にとって注目すべき現象の解明も進めている。台風通過時期のデータを解析したところ、台風の通過は漁場で突発的な強い流れを発生させただけでなく、生物環境に対しても大きなインパクトを与えたことがわかってきた。さらにデータを蓄積し、漁場環境における重要現象の抽出と生物環境への影響に関する分析を進める。

今後の研究の推進方策

初年度に確立した観測体制を維持し、2年目、3年目もデータを蓄積するとともに解析事例を増やす。初年度は、対馬暖流沿岸分枝が若狭湾沖で例年よりも弱い年であった。2年目、3年目もデータを取得し、対馬暖流沿岸分枝の若狭湾沖における流路・流量の違いが漁場環境に与える影響に着目して分析を推進する。また、既に見いだした漁場環境の季節変化や台風通過などの一時的な漁場環境の変化は2年目、3年目のデータ解析でも注目し、その特徴を更に浮き彫りにしていく。そして、繰り返し出現する重要な現象を抽出し、漁場環境を把握するための新たな環境指標の開発を推進する。
研究を通して得た知見は学会・研究集会での発表や論文化を可能な限り速やかに行い、研究成果の公表を推進する。

次年度使用額が生じた理由

観測機器を見積額より安く購入できたこと、観測用ロープや金具類、センサーなどの観測消耗品に大きな損傷が生じなかったことにより、計画よりも経費を節約できたため。

次年度使用額の使用計画

係留観測の消耗品購入や当初計画よりも経費を要しているプランクトン調査用の経費として用いる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 若狭湾におけるADCP反射強度データの解析2016

    • 著者名/発表者名
      吉川泰広,兼田淳史,鮎川航太
    • 学会等名
      日本海洋学会2016年度春季大会
    • 発表場所
      東京大学(東京都文京区)
    • 年月日
      2016-03-15 – 2016-03-17

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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