研究課題/領域番号 |
15K14794
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研究機関 | 公益財団法人海洋生物環境研究所 |
研究代表者 |
林 正裕 公益財団法人海洋生物環境研究所, 海生研実証試験場, 研究員 (20444870)
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研究分担者 |
高田 陽子 筑波大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (60435740)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 魚類 / 睡眠 / 脳波 / 睡眠判定 |
研究実績の概要 |
1 魚類用脳波測定データロガー試作機の作製:これまで測定が困難であった魚類の睡眠脳波を測定するために、自由遊泳する魚類においても容易に脳波データを収集できる魚類用脳波測定データロガーの試作に着手した。作製した試作機は、本体(外形寸法:W41mm×D24mm×H15mm、消費電流:約35mA)と電源ボックス(外形寸法:W62mm×D25mm×H15mm)からなり、収集した脳波データは本体に装着したmicro SDカードに保存される。また、本データロガーは供試魚の魚体に装着して海水中で使用するため、本体と電源ボックスを入れる防水ケース(外径:34mm、全長:80mm)を作製した。 2 供試魚の入手及び飼育:供試魚は、脳波測定の実績があるマダイ及びブダイ類とした。マダイは、(公財)海洋生物環境研究所実証試験場において種苗生産し継代飼育している個体を実験に使用する。ブダイ類は、採取実績のある沖縄にて、熱帯魚販売業者を通じてナンヨウブダイを入手し、実証試験場に輸送して飼育を試みた。容量1t水槽で集団飼育した場合、大型の雄個体が他の個体を威嚇攻撃するため、個別飼育することによって長期飼育できることが分かった。 3 マダイの睡眠・覚醒時の脳各部の活動状態の観察:マダイの睡眠時及び覚醒時における脳各部のc-Fosタンパク質(主に細胞の核内に存在し、ニューロンの活動性の指標となるため、神経興奮のマーカーとして頻繁に用いられるタンパク質)の発現を観察するため、観察を実施する筑波大学で準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は、既存の無線式測定システムを改良し、魚類を大型水槽で自由遊泳させながら脳波を測定できるようにする計画だった。しかし、魚類用脳波測定データロガー開発の技術的目途がたったので、計画を前倒しして魚類用脳波測定データロガーの試作機の作製を実施した。そして、試作機が完成した。
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今後の研究の推進方策 |
作製した魚類用脳波測定データロガー試作機をマダイに装着し、性能試験を実施する。得られたデータを基に試作機の改良を行い、魚類用脳波測定データロガーを完成させる。 魚類用脳波測定データロガーを用いて、脳波測定の実績があるマダイやブダイ類で脳波データの収集を実施する。脳波測定に併せて、筋電位、心電位及び行動量を測定し、魚類の睡眠ポリグラフを作製する。 次に、睡眠・覚醒時の脳波の特徴を知るため、マダイに睡眠誘発物質や覚醒促進物質を投与し、その後の行動と脳波の変化を調べる。加えて、免疫組織化学的手法により睡眠・覚醒時の脳各部の活動状態を調べ、魚類における睡眠の存否を組織学的に検証する。 最終的に、得られたデータを解析し、魚類の睡眠時と覚醒時の脳波を正確に判定できるシステムを構築し、自由遊泳する魚類の概日リズムを調べる。
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