【最終年度の成果】 1)供試魚候補の一つであるナンヨウブダイの長期飼育を目指し、餌料を改良した。これまでは市販の餌料と冷凍アミを与えていたが、植食性魚であるナンヨウブダイの食性を考慮した餌料を作製した(餌料の配合比率は、冷凍アミ50%、冷凍アサリ13%、冷凍ホウレン草8%、冷凍ブロッコリー13%、塩蔵ワカメ13%及びビタミン添加剤3%)。この餌料を給餌した結果、1年以上の飼育に成功した(現在も飼育継続中)。 2)これまで測定が困難であった魚類の睡眠脳波を測定するために、自由遊泳する魚類においても容易に脳波データを収集できる魚類用脳波測定データロガーを試作した。この試作機をマダイとナンヨウブダイに装着し、性能試験を行って脳波データを収集した。その結果、①データファイルサイズが記録媒体(マイクロSDカード)の記録容量を超えたことによる書き込みエラー、②防水ケースのケーブル孔からの漏水という問題が発生し、それぞれの問題に対処して試作機を改良した。①に関しては、データを記録するファイル形式をテキストファイルからバイナリファイルに変更することで対処した。②に関しては、ケーブル孔の位置を防水ケースの蓋側から本体側に変更することで対処した。改良後の試作機をマダイに装着し、再び脳波データを収集した結果、脳波データを約1週間収集することに成功した。 【研究期間全体の成果】 魚類の睡眠研究に好適な供試魚の一つであるナンヨウブダイの飼育技術を確立し、健全な状態で実験に使用できるようになった。また、魚類用脳波測定データロガーが完成し(特許出願準備中)、自由遊泳する魚類において数日間の脳波データを収集できるようになった。収集した脳波データは、現在、周波数解析や日周リズム解析を実施中である。今後、開発したデータロガーを用いて、マダイやナンヨウブダイで脳波データの収集しデータを蓄積し、魚類の睡眠の解明を目指す。
|