代表的な付着汚損生物であるイガイ類は、一旦付着したのちも、付着装置である「足糸」を切断して移動(引っ越し)できる。本研究の目的は、移動を引き起こす条件や、足糸を切断する仕組みを解明して、新たな付着防除策の開発に寄与することである。ムラサキイガイを様々な条件(温度、塩分、干出、捕食者との共存等)に曝露する実験を行ったところ、移動せずに殻を閉じ「我慢する」行動をとる条件と、移動が活発になる条件があることが示唆された。移動の際、足糸の切断には1本ずつ引きちぎる方法と、まとめて切断する方法があることがわかった。後者に関与する可能性のある酵素のcDNAの単離も実施した。
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