研究実績の概要 |
1)エレクトロポーレーション法による珪藻の形質転換については、遺伝子導入装置NEPA21(ネッパジーン社製)を用いて、その導入条件を検討した。まず、f/2液体培地を電気抵抗が0.62-0.68 kΩとなるf/2液体培地を含む0.77 Mマンニトール溶液に置換し、これをNEPAキュベット電極 (2 mm gap, Nepa Gene Co., Ltd.)に移し、パルス電圧 300V, パルス幅5 ms, パルス間隔50 ms, パルス回数9回, 減衰率10%の各条件の下でエレクトロポーレーションを行うことにより、高効率な形質転換系を確立することができ、多数の形質転換体の取得が可能となった。 2) qRT-PCR法により各ウイルスプロモーターの転写誘導活性を評価した。その結果、中心目珪藻Chaetocerosに感染するDNAウイルス由来のプロモーターClP1が、国内外で頻用されてきたfcpAプロモーターに比べて、約5倍の転写誘導活性を持つことが明らかとなった。 3)培地に含まれる栄養塩類や、藻体の増殖段階および日周期がプロモーターClP1の発現に与える影響についてqRT-PCR法により評価した結果、栄養塩の多少、増殖段階さらには日周期に関わらず本プロモーターの発現誘導活性は安定していた。 4)ClP1プロモーターの適用範囲について検討した結果、羽状目珪藻のPhaeodactylumのみならず中心目珪藻Chaetocerosにも適用可能であることが判明した。その一方で、緑藻のChlamydomonasには適用出来ないことも明らかとなった。
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