研究実績の概要 |
本研究では、淡水魚ゼブラフィッシュおよびメダカに次ぐ第三のモデル生物として海産魚カタクチイワシに着目し、本種を新たなモデル生物として確立するために、網羅的な技術開発を試みている。平成29年度においては、以下の項目の研究を遂行した。
1) カタクチイワシにおける外来遺伝子発現系の基盤開発を目指し、由来伸長因子1 alpha (EF-1a)遺伝子プロモーターを利用したGFP遺伝子発現ベクターを構築した。当該ベクターの染色体DNAの組込みには、Tol2トランスポゾンシステムを適用している。同様に、カタクチイワシ由来ポリユビキチン遺伝子プロモーターを単離済みであり、当該配列を利用した発現ベクターを構築中である。 2) カタクチイワシにおける特定遺伝子破壊法の開発、およびゲノム編集による養殖魚育種研究のモデル構築を目指し、ゲノム編集技術TALEN法によって、骨格筋増殖抑制因子ミオスタチン (MSTN) 遺伝子を破壊したF0, F1世代を作出した (前年度報告)。引き続き、fin clippingによる遺伝型の解析、および選抜個体の選択的掛け合わせによって、MSTN遺伝子完全ノックアウト系統をF2世代で樹立した。現在、F3~F4世代を飼育中である。 3) ゲノム編集技術TALEN法に続いて、CRISPR/Cas9法における特定遺伝子破壊法を確立した。 4) カタクチイワシのゲノム解析を目指して、次世代シーケンサーによって得られたカタクチイワシドラフトゲノム配列を利用したk-mer解析を行った。その結果、本種の推定ゲノムサイズを明らかした。
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