棘皮動物イトマキヒトデの受精卵は胚を経てビピンナリア幼生となる。幼生は珪藻などを摂餌して成長し、ブラキオラリア幼生に移行する。イトマキヒトデ胚の細胞核にはトランスグルタミナーゼが存在する。このタンパク質の生成をそのmRNA と結合するモルフォリノアンチセンスオリゴの注入によって阻止すると、胚は正常にビピンナリアとなるが、ブラキオラリア幼生にはならない。13C標識珪藻を給餌すると、幼生の主要タンパク質 β-アクチンに13Cが取り込まれるがその割合は正常幼生に比べて低い。ヒトデに特徴的に存在し、ヒストンを2量化する本核タンパク質の働きが幼生の摂餌・栄養代謝にとって重要であると結論される。
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