研究課題/領域番号 |
15K14809
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中嶋 康博 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (50202213)
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研究分担者 |
村上 智明 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (60748523)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | コントラクター / サービス科学 / モジュール化 / 土地改良区 / 酪農 / サトウキビ |
研究実績の概要 |
研究計画に従って、①土地改良区の維持管理等の事業、②酪農のコントラクター事業、③サトウキビ生産・収穫作業、をサービス事業活動の観点から検討し、以下のことを明らかにした。 第一の事例は、愛知用水土地改良区の配水作業である。二期事業(更新投資)の実施時に配水管理作業の枠組みが大きく変更されて、半集権的な管理システムへと移行したが、それは末端部の農家による用水管理作業の一部を土地改良区が担当するように業務再編を行うものであった。これによって用水利用に関する予測可能性を高め、事後調整がスムーズに行えるようになった。 第二の事例は、北海道別海町の酪農における乾草・TMR生産コントラクターである。コントラクターは、管理対象地のデータを収集し、計画を立てて収穫・調製作業を進めることで、農家自身が行うよりも高品質な飼料生産ができるようになった。 第三の事例は、種子島におけるサトウキビ収穫・搬入組織である。収穫コントラクターは製糖事業者へ搬入する前に集荷拠点で夾雑物(原料茎以外の梢頭部や枯葉、雑草など)を除去するための精脱施設を増やしている。これによって製糖の製造効率を高めることができた。 地域内の農業活動における前段階の業務(土地改良では用水管理、酪農では飼料生産)や後段階の業務(サトウキビでは夾雑物除去)の再編が確実に進んでいる。一連の作業がモジュール化して関係組織間で分担されて、サービス科学で言うところの業務の委託側と受託側との間で価値共創となる業務精度の向上が進められている。その結果、地域の担い手が農作業に集中できるような実務の枠組みが構築されつつあるが、その基盤となる制度の改革は途上である。たとえば現在、土地改良法の改正案が検討されているが、それは配水管理という農業サービスの生産技術のイノベーションを後押しするための基盤となるのである。
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