研究課題/領域番号 |
15K14811
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小田 滋晃 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70169308)
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研究分担者 |
川崎 訓昭 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10633737)
伊庭 治彦 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70303873)
古塚 秀夫 鳥取大学, 農学部, 教授 (50132824)
北田 紀久雄 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (20120131)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 農業会計 / 社会的責任 / 説明責任 / CSR / 監査システム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、これまで十分には解明されてこなかった多様な農業経営体のガバナンスのあり様やその変化の方向を定める論理をその概念や生成過程、構造等を整理し、それら多様なガバナンスの解明と設計とに資する農業会計学領域の拡張と可能性について、理論的・実践的に明らかにすることにある。この研究成果は、多様な農業経営体それぞれの特徴に応じた有効なガバナンス設計(多様な各農業経営体の戦略達成に向けての有効で具体的な経営管理上の規律・方向付けとその遵守を担保させる会計・監査を含む仕組みのあり様)に対して、一般の企業経営体の同種枠組みでは提示困難な根拠を理論的・実践的に明らかにしつつ提示できることになる。 今年度は、本研究全体の課題と方法および各課題の位置づけ、役割分担の確認に関する研究会を開催し、各メンバー間で本研究の意義や方向性に関する共通認識を構築した。その上で、理論面については、重要文献や学説に関する情報収集を行いつつ、各自が担当責任となっている領域・課題との関連を意識しつつ、文献・理論研究を進めた。 以上の研究の遂行により、明らかとなった研究成果は以下のとおりである。 第一に、先進的な農業経営体が持続的に展開・発展・継承するためには、これら経営体が位置する産地や農村地域・集落において、農業を健全に担う家族農業経営体を始め、多様な主体が互いに連携しながら、存在するガバナンス構造が必須条件となることが示された。 第二に、日本農業法人協会の法人会員を対象としたアンケート調査によって、農作業事故の実態(有無)と実際の事故になった要因、農作業事故防止対策実施の実態と事故防止に必要な対策・取組みの意向について明らかにするとともに、今後の農業法人経営における農業労災を防ぐガバナンスとマネジメントの課題を提示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内外の研究遂行にあたり、多くの研究者および農業経営体の理解および協力が得られたため、スムーズな調査を実施することが可能であった。この背景には、調査実施前より共同研究者間の密な連絡のやり取り、日程の調整、調査対象者との密なコンタクトを実施したきたことが大きいと考えている。 他方で先進的農業経営体のガバナンスのあり様を明らかにする現地調査においては、経営体およびそれらが存する地域内での主体の多様性、主体間の関係性の複雑性を把握するために予想以上の時間と労力がかかり、事例研究手法をより効果的・効率的なものに洗練させていく必要があることが研究者間で認識されつつつある。
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今後の研究の推進方策 |
基本的な大枠として、現在の研究計画を継続して研究を遂行していく予定である。ただし、本研究における農業経営体のガバナンスに関する説明可能性とその評価方法は、日々目まぐるしいスピードで変化・変貌を遂げている分野である。そのため、調査事例に関しても、最新の情報を入手しながら調査地を選定してくことが必要と思われるため、若干の調査地の変更が強いられる可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の研究開始に際し、新たな図書の購入を中心として、物品費を多く要した。その反面、わが国では、いまだ少数の事例である農業経営体におけるガバナンスを効果的に発揮している経営体に関する実態把握のため、各研究者が在籍している大学の近郊から調査を開始した。そのため、当初想定よりも現地踏査に要する旅費が少額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究2年次は、初年度より現地踏査の調査対象地を日本全国に拡大し、農業経営体におけるガバナンスの効果的な運営方法について、事例研究を進めていく予定である。そのため、当初の予定請求額と同等規模の旅費を支出する予定である。
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