本研究では、アマゾン下流域に位置するブラジル連邦共和国パラー州トメアスー市の日系入植者が開発した遷移型アグロフォレストリー(SAFTA)の形成に至った経緯及び現在の到達点の特徴を農業経営の観点から考察した。2016年2月及び4~5月に現地関係機関から関係資料を収集するとともに、日系農家25戸を対象に農家経営調査を実施した。現地調査をベースにした実証分析により、SAFTAとは、日系農業者が、国内経済の混乱、国際商品作物の市況変動、熱帯特有の気候変動等に晒されるなか、モノカルチャーは不安定であるという経験を経て、試行錯誤の末、行き着いた合理的かつ柔軟性のある果樹複合経営であることを明らかにした。
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