研究課題/領域番号 |
15K14817
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
辰己 佳寿子 福岡大学, 経済学部, 教授 (80379924)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 集落点検 / 相互多重型支援 / 地域社会 / 生活改善 / 防災 / 地域ぐるみ |
研究実績の概要 |
本年度は、村落社会に関する先行研究や阪神淡路大震災や東日本大震災等の過去の災害等の文献研究を継続的に行うと同時に、相互多重型支援を行うNPOや地域の取組、平成28年4月に起こった熊本地震後の地域の状況や各地で起こっている災害等についても情報収集を行った。また、研究代表者は、防災士研修センターの研修に参加し、防災のための知識や技能を習得するともに防災士の資格を取得した。 さらに、同年9月に韓国で観測史上最大規模の地震が起きたため、29年2月に開催された福岡大学先端経済研究センターの第110回研究会「釜山大学との学術交流会」においては、災害管理体制や相互多重型支援のあり方について釜山大学の研究者と意見交換を行った。 山口県では、長門市地域防災活動支援員養成講座に参加し、地域防災組織のリーダーと意見交換を行った。この他の地域でも、地域づくりに携わるリーダーや消防団、NPO、行政職員等に地域防災の現状について聞き取り調査を行った。これらの調査から、地域防災だけでなく、地域の担い手問題や集落の存続問題を視野にいれることが喫緊の課題であることが明確になり、地域ぐるみ型の相互多重型支援のあり方を検討する必要がでてきた。 東北では、漁業・漁村社会の専門家や福島県で復興に携わっている実践者と宮城県石巻市や南三陸町の集落、東北学院大学を訪問し、復興状況について聞き取り調査を行うとともに、南三陸町藤浜地区の区有文書の意義について議論を行った。区有文書には、集落を基盤とした講組織の相互扶助的な活動が記録されており、東日本大震災の津波以後、このような資料がほとんど残っていないからである。この文書の訳本を完成させたことが本年度の最も大きな成果であった。この訳本は、集落の同意を得た上で、東北学院大学や東北歴史博物館へ寄贈する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
区有文書訳本の完成に力点を置きすぎて、日程調整が後手にまわったため、ワークショップの開催を今年度に実現することができず、次年度に繰り越すことになった。
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今後の研究の推進方策 |
ワークショップの当事者となる方々は、多忙であり、特に、漁業や農業は繁忙期に入ると全く動けない。全体の日程調整を早めに行いながら、ワークショップ実現にむけて準備を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度に実施予定のワークショップが日程調整がつかず29年度に延期されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
早めに日程調整を行い、29年度の前期にワークショップの開催する予定である。
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