研究課題/領域番号 |
15K14820
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
取出 伸夫 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (70212074)
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研究分担者 |
渡辺 晋生 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (10335151)
坂井 勝 三重大学, 生物資源学研究科, 講師 (70608934)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 水ポテンシャル / 鏡面冷却式センター / 土中水分移動 / 溶質移動 / 熱移動 / モニタリング / 不飽和透水係数 |
研究実績の概要 |
土壌圏では,地表面の加熱,冷却による熱の流れに伴い,液状水,水蒸気,溶質,ガスがダイナミックに動き,地温の分布に応じた土中水の相変化が生じる.本研究では,新たに開発された鏡面冷却式微小水ポテンシャルセンサーFINEDEWを土カラムのインテンシブモニタリングシステムに適用し,土の蒸発,凝縮,凍結,融解過程における水ポテンシャルを飽和から水頭単位で-300,000 cmH2O 程度の低水分領域までのモニタリングを行っている.それにより,土中水の相変化を伴う液状水,水蒸気,熱の流れ,溶質濃度の相変化に及ぼす影響などの現象を解明し,非等温下の土中の液状水・水蒸気・熱・溶質移動現象の体系化を目指している.また,この水ポテンシャルセンサーFINEDEWを不飽和透水係数測定のための蒸発法に適用し,水蒸気移動を含めた水分移動式による逆解析により,乾燥領域までのより信頼度の高い不飽和透水係数の測定手法の確立を目指している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FINEDEW を土中水のモニタリングとして利用するため,土中での継続使用による耐久性,測定領域の上限,下限値,応答時間,測定精度等の検討を行った.水分飽和土カラムに,FINEDEW,テンシオメータ,MPS-2,熱拡散センサー等の各種センターを挿入して,蒸発過程の水ポテンシャル測定を行い,各種センサーの特性とFINEDEW の耐久性を検討した.蒸発法では,蒸発過程の土中水圧力をテンシオメータにより-1000 cmH2O 程度まで,さらに乾燥の進んだ-300,000 cmH2O 程度分領域までの低水分領域までをFINEDEW により測定を行っている.この土中水圧力変化に対して,水蒸気移動を含めた水分移動式による逆解析により,乾燥領域までの不飽和透水係数の推定を試みている.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に得られた成果をさらに発展させて,FINEDEW,テンシオメータ,MPS-2 による水ポテンシャル,TDR による水分量と電気伝導度,密な測定間隔での熱電対による地温,排水量および土カラム重量の連続モニタリングシステムを,土の水分蒸発課程,凝縮課程,凍結課程の集中モニタリングに適用する. 水分蒸発課程では,地表面を暖めた土カラムにおける水分・熱・溶質移動過程を観察し,特に,蒸発面の低下,溶液濃度の増加に伴う水分蒸発の変化に着目した測定を行う.また,下層土を冷却した水分凝縮過程では,凝縮面近傍の水ポテンシャルの変化,溶液濃度の変化に伴う水分蒸発,凝縮の変化に着目して水分・熱・溶質移動過程を観察する.また,凍結課程では,地表面を0℃以下に冷却した土カラムに対して,凍結に伴う水ポテンシャルの急低下をFINEDEW を用いたモニタリングを試みる. 観察した非等温下の土中の液状水・水蒸気移動に対しては,Philip and de Vriesモデルを適用し,特に温度変化に着目して相変化を伴う水分・熱・溶質移動モデルと各種パラメータの検討を行う.また,従来のテンシオメータのみによる不飽和透水係数の推定と本研究で提案する低水分領域までの推定との整合性についても検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
2年間にわたる効率的な研究経費の利用のため
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次年度使用額の使用計画 |
モニタリングシステムのためのセンサー類等の消耗品に充てる
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