研究課題/領域番号 |
15K14826
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
東城 清秀 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40155495)
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研究分担者 |
帖佐 直 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10355597)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 微生物電池 / メタン発酵 / 水素発酵 / バイオフィルム / 有機酸 / 発電特性 |
研究実績の概要 |
メタン発酵過程で発生する発酵不調の原因は有機酸の蓄積が原因であることから、有機酸の蓄積を回避しながら発酵を円滑に進めるために、微生物電池を組み入れた制御技術の構築を目標とした。 試作したカーボンクロスをアノードとする1槽式微生物電池(容積26 ml)を用いて、発酵消化液に含まれる主要な有機酸の消費と発電特性について検討した。微生物電池については、酢酸ナトリウム標準培地(酢酸濃度1 g/L)に微生物源として牛糞原料のメタン発酵消化液を体積比1:1で加えた混合液を培地として、30℃のインキュベータ内でバイオフィルムの馴養を行った。混合液の培地は毎日交換し、出力電圧の安定した時点で、アノードのバイオフィルム形成が完了したと判断した。 有機酸基質として対照区の酢酸(濃度1.0 g/L)、実験区の酪酸(濃度1.34 g/L)及びプロピオン酸(濃度1.17 g/L)を供試して実験を行った。電気抵抗は、開回路から順次1000Ω、510Ω、240Ω、100Ω、51Ωと変化させ、各抵抗における出力電圧を得た。基質として供試した培養液の有機酸濃度は実験前後にHPLCで分析した。最大電力密度は酢酸が524 mW/m2、酪酸は1.9 mW/m2、プロピオン酸が46 mW/m2であった。基質消費率は酢酸が97%、酪酸が63%、プロピオン酸が88%であった。また、内部抵抗は酢酸が198Ω、酪酸が4336Ω、プロピオン酸が1899Ωであった。 今回の実験では、酪酸は基質消費率と電力密度がともに低いことから、微生物電池のアノードに形成されたバイオフィルムの再検討が必要であるが、プロピオン酸については本システムによる制御が可能との見通しを得た。
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