研究課題/領域番号 |
15K14834
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
近藤 直 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20183353)
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研究分担者 |
西津 貴久 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (40228193)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 精密水産 / 共鳴 / 体積計測 / 誘導 |
研究実績の概要 |
養殖業において,養殖魚の寸法や成長に影響を与える給餌状況などのデータを取得,利用することで高品質・高収量を目指す「精密養魚」の需要が高まっている。養殖魚の寸法の計測として,ヘルムホルツ共鳴を用いた水中体積測定やステレオカメラを用いた体長測定の研究が行われているが,養殖魚を測定場所へ誘導することが問題となる。 本研究では誘導方法として魚の学習能力を用いることを考え,先行研究においてすでに行われているウグイ(Tribolodon hakonensis)が音刺激と給餌の関係を学習することによる給餌場への浮上の条件付けを行った.この条件付けを行ったウグイ(学習個体)と行わなかったウグイ(未学習個体)に対して,ヘルムホルツ共鳴装置への導入部を想定したパイプを通過させる条件付けを行うことが可能であるかどうか検証した。 一方,多管型ヘルムホルツ共鳴器を作成し,その理論式を導出しているところで,それに基づいて寸法の違いによる共鳴のレベルを考察中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までに落とし劇を用いた魚の浮上条件付け実験を行っており,適切に刺激を与えれば,学習することがわかった。一方,魚の体積計測に関しては,ウォーターリード(水流)法により共鳴可能な多管型ヘルムホルツ共鳴器を作成し,その計測精度を調べている。水中における多管型共鳴器の理論的な考察も進みつつあり,大型の共鳴器の作成を行おうとしているところであるため。 ただ,群れをなす魚はそれぞれ役割分担をし,共鳴器の配置の方法によっては時間をかければ,少ない数の魚を誘導することも可能という知見を得た。また,小型の魚はこのような体積計測を必要としないことより,方針を大型の魚種に絞ることとして,今までよりも大きな多管型共鳴器の製作を行っている。その製作に時間を要している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
本年,共鳴器の大型化が可能になると,本研究も大きく前進することになる。最終的にはマグロ,ブリ等の大型魚の体積計測を行うことを目標としており,大型の共鳴器が理論的に動作するかが本年のポイントになる。現在もその点に絞って研究を推進しているが,なるべく早く共鳴する大型の共鳴器の製作を行い,その共鳴音を拾い上げるシステムを構築ことに集中する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
小型の魚の体積計測は実用的に利用困難であることより,大型の共鳴器の製作に方針変換し,そのテストのための共鳴器に関する支出が平成28年度になったため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度に種々のタイプの大型共鳴器に関する支出を行うこと,また昨年購入を踏みとどまったセンサ類の購入を行い,実験を遂行していく予定である。
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