血漿(血清)由来のエクソソームに内包されるマイクロRNA(miRNA))に焦点をあて,ウシの妊娠診断・新規バイオマーカーの探索を目的とし,今年度は人工授精牛の血漿に存在する特異的miRNA分子種の検出を試みた。 人工授精後21日の牛からEDTA採血管を用いて採血し、血漿を得た。血漿中miRNAはmiRNeasy serum/plasmaキットを用いて抽出し、独自に開発したmiRBase 19.0 対応のウシ・カスタムmiRNAマイクロアレイ(Agilent G4474A-063969、755 miRNA対応配列搭載) による解析を行った。なお、人工授精後21日の妊娠牛(n=4)および非妊娠牛(n=3)での比較を実施した。755個のウシmiRNAを標的にしたマイクロアレイで検出可能であったmiRNAは128分子種であった。また、高発現を示す上位10分子種のmiRNAでは、妊娠牛と非妊娠牛での発現差は認められなかった。一方、妊娠および非妊娠牛群で発現の認められたmiRNAのうち2倍以上の変動を示したものは5つ存在した。その5分子種のmiRNAすべてが妊娠牛で上昇していた。さらに妊娠牛では発現していたが非妊娠牛で検出されなかったmiRNAは33分子種であった。これらのmiRNA分子種の個別定量および標的遺伝子の探索については解析中である。現在までに得られた成果から,妊娠血漿中に特異的に検出されるmiRNA分子種が明らかとなった。
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