研究課題/領域番号 |
15K14845
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
田鎖 直澄 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター 酪農研究領域, グループ長 (60343951)
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研究分担者 |
伊藤 文彰 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター 酪農研究領域, 上級研究員 (60391380)
山崎 武志 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター 酪農研究領域, 主任研究員 (00414764)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 乳牛 / 泌乳曲線 / 乳量制御 / 泌乳初期 |
研究実績の概要 |
乳牛の高能力化に伴う繁殖性の低下や周産期疾病の多発では、乳生産と栄養摂取量の変動パターンのミスマッチが主因になっている。そこで、本研究ではこの両パターンをマッチさせる飼料・栄養設計を試みて、その効果を検証する。特に、低タンパク質栄養状態では乳生産が制限され、高タンパク質では亢進される現象に着目する。泌乳初期4週間の泌乳量増加速度を低タンパク質にて抑制した後、5週以降から高タンパク質に切り替えて乳生産を促進状態に「ギアチェンジ」させる栄養管理を行い、泌乳曲線と泌乳調節・繁殖生理メカニズムやボディーコンディションの変化を検討する。 本研究では3年間で分娩直後の泌乳牛12頭を用い、対照区と処理区それぞれ6頭の一元配置実験を行う。処理区では分娩後4週間、飼養標準を下回るCP含量13%の低CP飼料を給与し、5週目から10週目には、逆にCP強化(CP 17%)の飼料に切り替える(ギアチェンジ)。対照区では、実験期間を通じて飼養標準に準じた栄養設計にする(CP 15%)。Wilminkモデルをあてはめた泌乳曲線を用いて増乳速度などの泌乳形質について、ギアチェンジの効果を検証する。さらに、栄養素代謝動態(糖代謝、インスリン作用(抵抗性)やアミノ酸充足度)、内分泌(泌乳あるいは生殖に関する各種ホルモン濃度)についても併せて検討する。平成27年度と平成28年度初頭に2回に別けて実験を行っており、対照区・処理区、それぞれ5頭の実験を完了している。この段階でエネルギー補正乳生産量のギアチェンジ現象を確認している。 平成28年度末より第三回目の実験として処理区・対照区それぞれ2頭の実験を追加して実行中である。第3回実験は平成29年5月末に終了する予定であり、実験成績の取りまとめ、血液成分の分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物実験に関して、供試目標は12頭としているが、これまでに14頭を実験に供試しており、実験中の不慮の疾病等の事故があっても、12頭~14頭の成績が得られる見込みである。なお、当初予定では動物実験は平成28年度中に完了する予定であったが、分娩予定日や不慮の疾病事故による実験中断の可能性を考慮して、供飼頭数を増やしたこともあり、若干遅れて平成29年5月末に完了する予定となった。このため、平成28年度に飼養試験および血液分析等に充当する予定だった予算相当額を平成29年度に繰り越して使用する。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で得られている飼養試験成績の検討から、試験牛の産次(2産と3産以上)で、ギアチェンジ現象については産次影響は見られないが、そのときのエネルギーバランスの状態に差異がある可能性が示唆されており、この点に関する考証を行ってゆく予定である。 この考証において必然があると判断した場合には、実験例数を追加する。 いずれにせよ、予定通り血液分析値などに関しての解析を行い、全体成績を取りまとめてゆく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画で12頭の動物実験を行う予定で、既に平成28年度前半に10頭の実験を完了している。当初予定を達成するべく、不慮の疾病事故による実験からの離脱例発生の危険を考慮し、平成28年度後半に4頭の動物実験を開始した。しかし、分娩予定日等の事情から、実験の完了予定が平成29年5月末となり、飼養試験が年度をまたぐ結果となっている。このため、平成28年度に飼養試験の遂行及びその血液サンプル等の分析のために使用する予定であった予算額を平成29年度に繰り越して使用する必要が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度末より継続して実行中の飼養試験及びそのサンプル分析に使用する予定である。使用時期は若干遅れたが、当初計画の目的どおりに使用する。
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