前年度までの結果より、グレリン、プロラクチン(OおよびIGF-1の分泌変化には、白色LED照射によるメラトニン分泌抑制が関与している可能性が考えられたが、それらの関連性は不明であった。そこで本年度は、白色LED照明管理下で静脈内にメラトニンを投与し、グレリン、GLP-1、IGF-1およびPRL分泌に及ぼす影響を検討した。ホルスタイン種雌子牛6頭(8週齢)を供試し、外光を遮断した光周期管理が可能な代謝室で、明期16時間、暗期8時間の長日管理下で飼養した。2週間の光環境馴致後、頸静脈カテーテルより暗期2時間前に生理食塩水を注入するCON区と、メラトニン溶液(4 mg/100 kg BW)を注入するMEL区の計2処理区を設けた。採血は注入前後に経時的に実施した。血漿グレリンおよびGLP-1濃度は処理区間で差はなかったが、注入時を基準とした相対値では、CON区と比較してMEL区において低値で推移した。IGF-1およびPRLの血漿濃度および相対値も同様に注入後MEL区において低値で推移した。グルコース、NEFAおよびBUNの血漿濃度および相対値は、CON区と比較してMEL区において高値で推移し、BHBAは低値で推移した。TGの血漿濃度はMEL区で低値を示したが、相対値では高値を示した。ラットおよび乳牛の先行研究において、グレリン、GLP-1、IGF-1およびPRLはメラトニンと負の相関関係にあるという報告があり、本試験の結果と一致した。また、血漿代謝産物濃度もメラトニンによる直接的な影響を受けると報告されており、本試験の結果は先行研究と同様であった。以上のことから、前年度白色LED照明下で認められた体内代謝動態は,メラトニン分泌機構を介したものであると考えられた。
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