研究課題/領域番号 |
15K14857
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
竹内 正吉 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00171611)
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研究分担者 |
中嶋 秀満 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (30405360)
東 泰孝 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (50298816)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 薬理 / 神経科学 / シグナル伝達 / 脳神経疾患 / 獣医学 |
研究実績の概要 |
本研究では、グリア細胞に存在が示唆される細胞外ポリADPリボース(Extracellular-PAR: EC-PAR)の未知レセプターの同定を初期目標とした。しかし、研究開始直後(H27年5月)に免疫系細胞であるマクロファージでEC-PARがTLR2/4が受容体であり、炎症性サイトカイン産生を促進する生理活性物質であることが論文報告がなされた為、方針を変更した。すなわち、神経系(グリア細胞)でのEC-PARによる神経栄養因子(グリア細胞株由来神経栄養因子)促進作用のシグナル伝達系と神経保護効果に関する研究として、研究を開始することで、本分野における神経系でのイニシアティブを得ることを最優先に実験計画を再検討した。その結果、研究終了H28年度までに以下の知見を明らかとし、国際学術誌(Biochem Biophys Res Commun 2017; 484(2): 385-389.)に論文を掲載した。 1)初代アストロサイト培養系において、EC-PARのGDNF産生促進作用は特異的であり、NGF、BDNFおよびNT-3の神経栄養因子産生には無影響であった。 2)ラットアストロサイト細胞株C6培養系において、EC-PARはその用量依存的にGDNF蛋白質とGDNF-mRNAの産生を促進した。 3)EC-PARのラット線条体内実質投与により、活性化アストロサイトにおけるGDNF蛋白質の増加を蛍光2重免疫染色法で確認した。 4)EC-PARのラット線条体内実質投与により、ラットパーキンソン病モデル(6-OHDA黒質-線条体破壊ラット)の異常行動が改善され、治療効果を発揮した。 以上の結果から、EC-PARの脳神経系における病態生理学的役割として、神経細胞崩壊に伴うEC-PARの放出は、グリア細胞の1種であるアストロサイトからのGDNF産生促進を促進することで残存する神経細胞を保護する働きがあることが示唆された。
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