研究課題
平成28年度で得られた、主な成果は以下の通りである。1)牛バベシア(Babesia bovis)培養物を低温感作させて回収した赤血球外メロゾイトを用いた“バベシアによる赤血球侵入評価系”を確立した。2)タイに分布する牛バベシアの赤血球侵入に関与する原虫表面抗原(MSA-1)の高度な遺伝子多型について明らかにした。3)アジアに分布する牛バベシアのMSA-1の遺伝子多型を簡易に鑑別できるタイピングPCR法を確立した。4)ベトナムに分布する牛バベシアの赤血球侵入に関与する原虫分泌抗原(AMA-1)の低い遺伝子多型について明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
これまでに、バベシア培養物を低温感作させ、赤血球外へと放出されたバベシアを回収・精製し、未感染赤血球への感染(侵入)効率を測定することで、最適の赤血球侵入評価系を完成できたことから、おおむね順調に進展している。
今後、赤血球侵入に関連した原虫由来の各種組換え抗原(MSA-1やAMA-1など)に対する特異抗体を様々な組み合わせで介入させ、原虫の赤血球侵入阻止効果を比較・検証する。得られた成果を総括して、最も赤血球への侵入を阻止できるカクテル型サブユニットワクチンを提案する。
確立したバベシアによる赤血球侵入評価系を活用して、赤血球侵入を阻止できるバベシアワクチンの候補群を絞り込む予定でいたが、ワクチン候補分子群のそれぞれの特異抗体の作製に想定以上の時間を要したため。
平成29年度の直接経費の使用計画として、物品費:1,270,823、旅費:500,000円、その他300,000円:(合計2,070,823円)を予定している。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (1件)
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