先行研究に基づき、犬iPS様細胞の作製を試みたが、樹立が困難であったため、初期化を行う対象の細胞の幹細胞能について再検討した。使用した細胞は新たな犬骨髄間葉系幹細胞のBM-PACsであるが、BM-PACsは従来の骨髄間葉系幹細胞であるBMMSCsと比較し、老化を伴わない、より未分化な細胞であった。また、レトロウイルスを用いた遺伝子導入を目的に、BM-PACsの増殖能を促進させる因子を検討したところ、bFGFはBM-PACsの増殖能を有意に上昇させるとともに、未分化性も上昇させた。以上から、bFGF処理を行ったBM-PACsを用い、より効率的な初期化が行えることが期待できた。
|