本年度は昨年度に引き続き、犬のT細胞型リンパ腫に結合すると思われる抗体のスクリーニングを行なった。その結果、3種類の抗体が犬のリンパ腫細胞株に結合することが明らかとなった。また、山口大学動物医療センターに来院した犬のT細胞型リンパ腫の症例由来の腫瘍細胞に対しても同様に反応性をフローサイトメトリーにより確認したところ、多くの症例で反応することが明らかとなった。一方、より多くの症例を用いた解析を行うために、これら抗体のホルマリン固定パラフィン包埋切片を用いた反応性を検討したところ、これら抗体はパラフィン包埋切片では反応性が著しく低下し、パラフィン包埋切片における染色には使用できないことが明らかとなった。すなわちこれらはフローサイトメトリーには使用可能であるため、生の細胞を用いた染色には使用可能である。現在は、これらを抗体医薬として使用可能なように抗体の遺伝子配列の解析を行なっているところである。
|