研究課題/領域番号 |
15K14872
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
三浦 直樹 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 准教授 (80508036)
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研究分担者 |
福島 隆治 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10466922)
中川 貴之 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (40447363)
川口 博明 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (60325777)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | microRNA / エキソソーム / 腫瘍 / 転移 / バイオマーカー / イヌ / 低酸素 / 次世代シーケンス |
研究実績の概要 |
本研究はエキソソーム解析がイヌの腫瘍診断の転移マーカーとなり,且つ,腫瘍の転移メカニズム解明の糸口となるという“仮説”を証明する研究であり,以下の2つの研究を当初計画した。 1)血液中のエキソソーム解析による腫瘍診断(転移&再発)分子マーカー発見への挑戦。 2)腫瘍特異的エキソソームの培養細胞への特異的作用の観察から転移機構解明への挑戦。 1)に関しては体液中のエキソソームの抽出を市販のキットを用いて行い、エキソソーム分画を分離していないものとmicroRNA分子の発現の差異を確認した。その結果は、エキソソームを分離した場合にプロファイルに差異があるということはエキソソームに含まれるmicroRNAと含まれないmicroRNAの存在を支持する結果である。エキソソーム中のmicroRNAの次世代シーケンスによるプロファイルは未だ行えていないが、腫瘍サンプル(乳腺腫瘍、肝細胞癌、メラノーマ)とそれらに対応する正常組織のmicroRNAの発現を次世代シーケンスで解析した。これらは今後のバイオマーカー探索とエキソソームプロファイルの参考となる貴重なデータである。 2)に関しては複数のイヌ腫瘍細胞の培養を確立している。さらに、腫瘍細胞を低酸素で培養することで、増殖が促進されること、抗アポトーシス効果の可能性があることを発見した。また、抗癌剤に対する感受性の変化も見られることが観察された。これらの条件の変化に対応した培養上清中のエキソソームを観察することで、腫瘍の変化に対応したバイオマーカーの探索のヒントが得られる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では転移のメカニズムを観察するために血液中のエキソソームを分離して、腫瘍マーカーの可能性を探るものである。現在、エキソソームの分離法に関しては進行しているが、未だ次世代シーケンスによる網羅的な解析が行われていない。この理由は十分なRNA量を確保するだけのエキソソームを臨床サンプルから得るのが難しいことにある。
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今後の研究の推進方策 |
臨床サンプルから十分な解析(次世代シーケンス解析)をするだけのRNA分子が採取できない可能性がある。今後、培養細胞などから得られないかを検討する。また、腫瘍組織から次世代シーケンスで腫瘍特異的なmicroRNAの検索を検討し、腫瘍関連エキソソーム含有microRNAの探索を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では腫瘍症例の血液中のエキソソームを分離して、腫瘍マーカーの可能性を探ることが最重要課題である。現在、エキソソームの分離法は進行しているが、未だ次世代シーケンスによる網羅的な解析が行われていない。この理由は十分なRNA量を確保するだけのエキソソームを臨床サンプルから得るのが難しかったことにある。次世代シーケンス解析が非常に多くの予算を必要としていることから、このような予算の使用状況にある。
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次年度使用額の使用計画 |
血液中のエキソソームの分離が難しい場合は、培養細胞や腫瘍組織からRNA分子を抽出して、次世代シーケンス解析を行う。この時に現在、未使用の予算が使用される計画である。
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