ヤギの輸送に伴う血中成分の動態の検討:ヤギに1時間のトラック輸送を与え、血中に現れる成分の変化を検討した。また、動揺病軽減効果のあるジフェンヒドラミン(DH)の効果についても検討した。これまでの研究で得られた成果のとおり、輸送によってヤギの反芻は抑制され、伏臥位姿勢でいる時間が長くなる傾向にあった。また、ストレスマーカーとなる血中のコルチゾル濃度が増加した。一方、輸送により血中の甲状腺ホルモン(トリヨードチロニンおよびチロキシン)濃度、およびオキシトシン濃度は変化しなかった。また、通常飼育時にDHを投与した場合、ヤギの反芻が有意に短くなったが、他の行動、血中成分に明確な変化は確認できなかった。 ヤギの血漿からアルブミンを除去し、電気泳動を行なったところ、分子量17.2以下~229.3 kDaの間に複数のバンドが確認できた。この結果を受けて、二次元電気泳動を行なったところ、複数のスポットが確認できたが、その数は少なく、実験区間の間で明確な違いも確認できなかった。現在、感度を上げて、さらに研究を進めている。 皮膚電気抵抗値を指標としたウマの発汗の評価法の検討:ウマは動物にしては珍しく、発汗する。ヒトでは悪心の指標の一つとして発汗があるので,ウマの悪心の指標の一つとしても発汗が使用できる可能性がある。ウマのわずかな発汗を,その皮膚の電気抵抗値で評価できる可能性を2016年度に示した。2018年度は自由行動下におけるウマから、データロガー付きのテスターを用いて、ウマの皮膚電気抵抗値を連続的に測定可能か否か検討した。その結果、発汗を反映して皮膚電気抵抗値が変化する可能性が示されたが、電極の接触具合等により数値が安定しないことが多く、今後の課題が示された。
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