研究課題/領域番号 |
15K14877
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉本 実紀 京都大学, 農学研究科, 助教 (20243074)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 哺乳動物 / 卵巣 / 卵胞 / 雌 / 生殖 / 生殖寿命 |
研究実績の概要 |
本研究では、雌性生殖寿命の延長を目的として、卵巣内で長期維持される卵胞の形成を顆粒層前駆細胞の追加ならびに成長因子等により増強する方法を開発しようとしている。まず、長期維持卵胞の形成に寄与することが報告されている卵巣表層細胞の動態について、蛍光色素による標識、器官培養、および組織学的検討を行った。当初予定していた標識試薬PKH26では組織学的手法による観察ができなかったが、CM-DiIに変更して検出できた。生後1~3日のマウス卵巣で表層細胞を標識し培養したところ、2日間培養以降で卵巣内の表面近傍に蛍光が観察され、表層細胞の卵巣内部への移動および卵胞形成への寄与が示唆された。これは既報と同様の結果であったが、標識の分布に偏りが見られ、標識時点での不均質も考えられるが、培養中の局所的条件(酸素分圧等)が影響している可能性がある。この結果に基づき、生後3日までの卵巣において顆粒層前駆細胞の追加を行うために、生後1~3日の卵巣表層細胞の分離および細胞表面マーカーを指標とした細胞の分離に使用する酵素消化の方法を検討したが、適切な処理条件は決定できていない。表層細胞を標識後、酵素処理により分離した細胞を別の卵巣に加えて器官培養したが、培養後の卵巣組織で蛍光は認められなかった。また、増強因子としてはR-spondin-1について検討したが、検討した条件下では卵胞形成・発育に対する顕著な影響は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新生仔期卵巣表層細胞の動態解析の手法は検討できたが、細胞分離条件が決定できておらず、卵巣への細胞付加についても試行した方法では有効な結果が得られなかったため。また、増強因子に関しても有用なものが発見できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に基づき培養による検討を行い、有効性が期待できる処理法については移植、投与等によるin vivoでの検討を行う。未検討の処理条件の検討、前年度の実験で採取した標本から処理条件の再検討を行うとともに、培養法についても培養基材、卵胞形成に作用する添加物の追加等を含めて改良し、処理効果の判定を容易にすることで解析効率の上昇を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入物品等が予定より少なかった。また、キャンペーン等で予定より安価で購入できた試薬、器具等があったため。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬、器具類、実験動物等の購入および共通機器使用料に使用する。動物実験において処置時および飼育中の管理向上が求められているため、関連の器具、装置を購入する可能性がある。
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