研究課題
本研究の目標は、ゼブラフィッシュの優れたモデル生物としての特性を利用し、主要組織適合性複合体(major histocompatibility complex, MHC)相同遺伝子の組み替え型個体や免疫不全個体の作成によって安定した造血細胞移植のシステムを確立するとともに、それ らを利用して個体全体に存在するT細胞/B細胞レパトワの網羅的かつ鳥瞰的な解析技術を開発することである。この目的を達成するため、以下の研究を行なった。(1)ゼブラフィッシュの単一個体に存在する全てのT細胞クローンを、T細胞受容体CDR3コード領域遺伝子配列の高速シーケンシングによって、網羅的かつ半定量的に同定する技術を開発した。(2)ゼブラフィッシュ のMHC遺伝子のタイピング法を用いて、申請者の研究室で保有しているさまざまな野生型および遺伝子改変型ゼブラフィッシュのMHCハプロタイプを同定し、従来は報告されていない新しいクラスI遺伝子(U遺伝子)を見出し、cDNA全長のクローニングを試みた。(3)野生型同一種のゼブラフィッシュを用いたMHC部分不一致個体間におけるwhole kidney marrowの移植モデルを用いて、GVHDに相当する反応を誘導できる系を作成し、全個体レベルでドナー由来造血細胞のライブイメージングによる解析を試みた。(4)上記の網羅的T細胞受容体解析系のヒトへの応用可能性を検討し、ヒトのウイルス抗原特異的免疫応答や造血幹細胞移植後のT細胞レパトワの再構築を行い、末梢血T細胞サブセットの階層性を明らかにした。
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https://www.hiroshima-u.ac.jp/rbm/news/40259