成長後の社会行動発現は幼少期の母子環境で大きく変化するが、痛覚発達にもその可能性が示唆される。近年、皮膚を撫でる刺激特異的に反応する感覚ニューロンが発見されたことから、本研究ではこの撫で感受性ニューロンが母子環境下で充分に活性化されると痛覚が適切に発達するという仮説の実証を目指した。結果として、母性行動が通常よりも低下している母マウスに育てられたマウスは、成長後に痛みを強く感じることが示された。さらに、撫で感受性ニューロン特異的に操作可能なMrgprb4-Cre遺伝子改変マウスとDREEDsシステムを用い、このニューロン活性を離乳前のみ抑制すると成長後の痛み発現が増加し、仮説が支持された。
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