研究課題
本研究は、ヒトと共通の生活習慣病や老齢化による疾病が自然発症するイヌに着眼し、 イヌのiPS細胞を作製し、本細胞を用いた再生獣医学研究を推進するもので、イヌiPS細胞を用いて、造血系分化誘導サイトカイン遺伝子を導入したフィーダー細胞上で培養した後、生体内での血小板生成過程を模した体外培養システムで、効率的に血小板へ分化誘導することを目的としている。本研究年度では、イヌ造血サイトカインを発現するフィーダー細胞の作製、および前年度に作製した薬剤誘導性ベクターによるイヌiPS細胞は血小板に分化誘導することができなかったために、低分子阻害剤を用いて多分化能を有するイヌ多能性幹細胞の作製について検討し、以下の結果を得た。1.前年度に作製したイヌ造血サイトカイン遺伝子導入OP9細胞株を培養し、本OP9細胞株からの造血サイトカインの発現を調べた結果、幹細胞因子(SCF)、トロンボポエチン(TPO)、およびエリスロポエチン(EPO)のタンパク質発現が確認された。2.核初期化4因子を導入したイヌ体細胞を、トランスフォーミング増殖因子(TGF)β1阻害剤、p38マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ阻害剤などの低分子化合物の存在下で培養することにより、長期継代可能で胚体外内胚葉(XEN)マーカーを発現する人工胚体外内胚葉細胞様細胞(iXEN様細胞)の作製に成功した。本細胞は多分化能を有し、肝細胞特異的なマーカーであるアルブミンとCYP3A4遺伝子を発現する肝細胞、毛細胆管膜マーカーであるMRP2タンパクを発現する胆管上皮細胞、さらに、白血球系細胞へ分化させることができた。今回の結果から、iXEN様細胞株とイヌ造血サイトカイン発現フィーダー細胞との共培養による血小板の大量培養に繋げていきたい。
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